【3種の酵母】コールドIPAを徹底解析 – シトラ、エルドラド、ストラタホップの複雑な味わい
今回は、伝統的なラガーとIPAの特徴を融合させた「コールドIPA」をレビューします。シトラ、エルドラド、ストラタという3種類のホップに加え、3つの異なる酵母を使用したユニークな製法で作られたこのビールは、クラフトビール界の新しい風を感じさせる一品です。爽やかでありながらホップの個性も楽しめる、この興味深いスタイルの特徴をご紹介します。
コールドIPAの基本情報
- ビアスタイル: コールドIPA(Cold IPA)
- 使用ホップ: シトラ、エルドラド、ストラタ
- 使用酵母: ラガー酵母、Hazy IPA酵母、コルシュ酵母のブレンド
- 特徴: 低温発酵、軽いボディ、豊かなホップ感
- 入荷時期: 2022年9月末頃
- 購入場所: 目白田中屋
【初心者向け解説:コールドIPAとは】
コールドIPA(Cold IPA)は、2010年代後半に登場した比較的新しいビアスタイルです。従来のIPAよりも低い温度で発酵させ、時にはラガー酵母を使用することで、クリーンでシャープな飲み心地と豊かなホップの風味を両立させています。通常のIPAのフルーティーさと複雑さを保ちながら、ラガーのようなクリアでドライな後味が特徴です。「インディア・ペール・ラガー」と呼ばれることもありますが、厳密には異なるスタイルとして確立されつつあります。
【初心者向け解説:使用ホップの特徴】
・シトラ:アメリカで開発された人気ホップで、グレープフルーツやライムなどの柑橘系の強い香りが特徴です。その名前の通り、シトラス(柑橘)の風味が豊かです。
・エルドラド:トロピカルフルーツ(特にパイナップル)、洋ナシ、スイカキャンディのような甘い香りが特徴的なアメリカンホップです。
・ストラタ:比較的新しいホップ品種で、パッションフルーツ、グレープフルーツ、ストロベリー、マリファナを思わせる複雑な香りを持ちます。
どんなビール?
ユニークな製法と特徴
「シトラ、エルドラド、ストラタホップで醸造したコールド発酵IPA。サクサク、飲みやすく、軽いボディで、インドのペールラガーよりもホップのプロファイルが優れています。同じレシピの3つの異なるバッチを醸造し、1つはラガー酵母で、もう1つはHazy IPA酵母で、もう1つはコルシュ酵母ですべてより寒い温度で発酵させました(したがって、「コールドIPA」の指定)。それぞれが美味しくてユニークでしたが、3つのバッチすべてをブレンドして、本当に特別なものを作りました。それは私たちのラガーのようにきれいで軽いですが、私たちのHazy IPAのような柔らかくてスーパーホッピーでもあります。」
このコールドIPAの最大の特徴は、同じレシピを用いながらも、3種類の異なる酵母(ラガー酵母、Hazy IPA酵母、コルシュ酵母)を使って別々に仕込んだバッチをブレンドしている点です。各酵母の個性を活かしつつ、低温発酵することで、クリーンな飲み心地とホップの豊かな風味を両立させています。
【初心者向け解説:使用酵母の特徴】
・ラガー酵母:低温で働く下面発酵酵母で、クリーンでシャープな味わいが特徴。発酵由来の副産物が少なく、原料の風味をストレートに表現します。
・Hazy IPA酵母:ジューシーでフルーティーな風味を生み出す上面発酵酵母。エステル(フルーティーな香り成分)を多く生成し、柔らかい口当たりに貢献します。
・ケルシュ(コルシュ)酵母:上面発酵ながらもクリーンな味わいを持つハイブリッド的な酵母。フルーティーながらもすっきりとした味わいを生み出します。
コールドIPAの評価
ビールレビュー
見た目
グラスに注ぐと強い濁りが特徴的です。コールドIPAというスタイル名から予想されるクリアな見た目とは異なり、使用されたHazy IPA酵母の影響で濁った外観となっています。
香り
アロマ (鼻腔前方受動器)
最初に感じるのは、やや強めの酸味を伴うフルーティーな香りです。特にストロベリーを思わせる赤い果実系の香りが印象的で、モルトの甘みと合わさるとストロベリーケーキのような甘美な印象を与えます。
同時に、やや紫蘇(しそ)を思わせるハーバルな香りも感じられ、複雑な香りのプロファイルを形成しています。おそらくストラタホップ由来の複雑な香りが、このユニークな印象につながっているのでしょう。
フレーバー(鼻腔後方受容器)
口に含んだ後に感じる香りは、チクル(メキシコのガム)のような独特の風味が特徴的です。ミントというよりも、やや湿布を思わせるような清涼感があります。これはニュージーランド系のホップに似た特徴で、ユニークな印象を与えています。
味わい
口当たり
口に含んだ瞬間は自然なビールらしさを感じさせてくれます。ただし、やや酸味が目立ち、この時点で鮮度の影響を感じさせます。
コクと質感
味わいが広がるにつれて、クッキーやストロベリーを思わせる風味、そしてミントのようなチクル感が強くなってきます。同時に、梅干し(男梅)を思わせるような酸味が口の中に広がり、複雑な味わいを形成しています。
飲み込む瞬間
飲み込む際には、喉をやや刺激する程度の辛さを感じます。その後はドライな印象が続き、ビールの風味が長く残るというよりは、ミントのような軽い辛さが残る程度です。
後味
後味は全体的にドライでスッキリとしています。ミントのような風味に加え、やや苦味のある柑橘系(マーマレード)を思わせる余韻が続きます。これはおそらくシトラホップの特徴が現れていると思われます。
全体的な印象
このコールドIPAは、缶の底に沈殿したような風味が全体的に感じられ、おそらく鮮度の影響を受けていると思われます。ブルワリーが意図した風味からはやや離れた印象ですが、それでも非常にドライで飲みやすい仕上がりになっています。
鮮度が良ければもっと輝いていた可能性を感じさせるビールです。スタイル的には「コールドIPA」と名付けられていますが、飲んだ印象としては「ホップ量の多いカリフォルニアコモン」に近い特徴を感じました。
【初心者向け解説:カリフォルニアコモンとは】
カリフォルニアコモンは、アメリカのゴールドラッシュ時代に生まれたビアスタイルで、蒸気ビール(Steam Beer)とも呼ばれます。ラガー酵母を使いながらも通常より高い温度で発酵させるという特殊な方法で醸造され、フルーティな上面発酵ビールのような香りと、クリーンなラガーのような味わいを併せ持ちます。今回のコールドIPAは、このカリフォルニアコモンに多めのホップを加えたような印象があります。
ボトルの底の部分
缶の底に溜まった部分も試しましたが、本体とほぼ同じ味わいで、やや酸味が強く感じられる程度でした。一部のビールでは底の部分に特徴的な風味が集中することがありますが、このビールではあまり顕著な違いは見られませんでした。
コールドIPAを楽しむポイント
- 鮮度重視: このスタイルは特に鮮度が重要。製造日の新しいものを選びましょう
- 適切な温度: やや冷やし気味(7-10℃)で飲むと爽快感が増します
- ホップの個性: 使用されているホップのプロファイルを意識して味わってみましょう
- 食事との相性: 軽い口当たりながらホップの主張があるため、スパイシーな料理や脂っこい食事と好相性
- 比較してみる: 通常のIPA、ラガー、ヘイジーIPAと飲み比べると違いが分かりやすい
画像で見るコールドIPA





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