ビールにおける「ダンク(Dank)」完全ガイド – クラフトビール最重要香味表現の徹底解説
クラフトビール愛好家の間で「ダンク(Dank)」という表現を聞いたことはありませんか?この記事では、ビール界で重要な香味表現である「ダンク」について、初心者にも分かりやすく徹底解説します。この記事は2025年6月に公開しています。
この記事でわかること
- ダンクの正確な意味と語源
- なぜホップから大麻の香りがするのか
- 日本で楽しめるダンクなビール
ダンクとは何か?基本から理解する

最近「ダンクなIPA」って聞くけど、どういう意味なのワン?苦いビールのこと?

ダンクは苦味の強さじゃなくて、特定の「香り」を表す言葉ホプ!大麻に似た独特の香りで、これはホップに含まれるテルペン類、特にミルセンやフムレンによるものホプ!

ホプくん、ちょっと難しいかな。つまり「湿った森の中のような、重く複雑な香り」のことだよ。苦味の強さとは別の話なんだ。
語源と基本的な意味
用語の側面 | 意味 |
英語の原義 | 「じめじめした、湿っぽい」 |
スラングとしての意味 | 「高品質なマリファナ」→「素晴らしいもの」 |
ビール用語としての意味 | 特定のホップが生み出す、大麻に似た独特の香り |
ビール業界で「ダンク」という言葉が使われ始めたのは、アメリカのクラフトビールムーブメントの中でのことです。特に2010年代以降、IPAの進化と共にこの表現が定着していきました。
ビールにおけるダンクの特徴を詳しく解説
香りのプロファイル
ダンクな香りは以下の要素で構成されています:
- 大麻様の香り(最も特徴的) – ホップとカンナビスが同じ植物科に属することから生まれる香り
- 樹脂質(Resinous) – 松ヤニのような粘り気のある重い香り
- 土っぽさ(Earthy) – 湿った土や枯れ葉のような香り
- 草っぽさ(Grassy) – 刈りたての草の青々しさ
- ハーバル – ハーブのような複雑な香り

大麻の香りって言われても、よく分からないワン…

松ヤニのような重い樹脂感と、湿った枯れ葉のような土っぽさが混ざった感じだよ。森の中の湿った場所の香りをイメージしてみて。
ダンクと他の香り特徴の違い
香りタイプ | 特徴 | 代表的なホップ |
🌿 ダンク | 大麻様、樹脂質、土っぽい、重く湿った複雑な香り | Columbus、Apollo、Summit |
🌲 パイニー | 松、松脂、針葉樹の清涼感あるすっきりした香り | Chinook、Simcoe |
🍊 シトラス | グレープフルーツ、レモン、明るく爽やかな香り | Cascade、Centennial |
🥭 トロピカル | マンゴー、パッションフルーツ、ジューシーで華やかな香り | Citra、Mosaic、Galaxy |
なぜホップから大麻の香りがするのか?科学的解説
植物学的な理由
驚きの事実
- ホップ(Humulus lupulus)と大麻(Cannabis sativa)は同じアサ科の植物
- 共通のテルペン類(香り成分)を含有
- 約2500万年前に共通の祖先から分岐

えっ!ホップと大麻って親戚なのワン?

そうホプ!植物分類学的にはアサ科カンナビス属とフムルス属で、約2500万年前の中新世に共通祖先から分岐したと考えられているホプ!だから両者は同じテルペン類を生合成する能力を持っているホプ!

そうなんだ!だから似た香り成分を持っているんだよ。でもホップには精神作用を持つTHCは含まれていないから安心してね。
共通のテルペン
ホップと大麻に共通する主要な香り成分:
- 🥭 ミルセン(Myrcene) – マンゴーのような香り
- 🌲 フムレン(Humulene) – 土っぽい、ウッディな香り
- 🌶️ カリオフィレン(Caryophyllene) – スパイシーで胡椒のような香り
ダンクを生み出すホップ品種完全ガイド
主要なダンクホップ
ホップ品種 | ダンク度 | 特徴 |
Columbus (CTZ) | ★★★★★ | 最もダンクとされるホップの一つ。強い樹脂質と大麻様の香りが特徴 |
Apollo | ★★★★★ | 超高アルファ酸を持ち、強烈なダンクキャラクターを発揮 |
Summit | ★★★★☆ | 土っぽさとハーバルな特徴が際立つ。保管に注意が必要 |
Mosaic | ★★★☆☆ | ダンクとトロピカルの両方の特徴を持つ複雑なホップ |
Ekuanot (Equinox) | ★★★☆☆ | ライム、メロン、ベリーに加えてダンクな特徴も持つ |
日本で楽しめるダンクなビール完全リスト

日本でもダンクなビールって飲めるのワン?

もちろん!最近は日本のブルワリーもダンクなIPAを積極的に作っているよ。いくつか紹介するね。
国産ダンクIPA
必飲!伊勢角屋麦酒「Dank Dank Dank!!」
ダンク度 | ★★★★★ |
ABV | 7.0% |
使用ホップ | モザイク、エクアノット |
特徴 | まさにダンクを追求したIPA。徹底的にダンクな香味を表現 |
推薦!リパブリュー「Dank Boy」
ダンク度 | ★★★★★ |
ABV | 6.5% |
使用ホップ | コロンバスホップメイン |
特徴 | グラッシー、ハーバルな特徴が際立つ教科書的なダンクIPA |
初心者OK!インドの青鬼(ヤッホーブルーイング)
ダンク度 | ★★★☆☆ |
ABV | 7.0% |
使用ホップ | Columbus |
特徴 | ダンクとフルーティーのハイブリッド。全国で入手しやすい |
輸入ダンクIPA
- Hopworks「Giggle Nuggets Dank IPA」
- Stone「Enjoy By IPA」シリーズ
- Lagunitas「Waldos’ Special Ale」
日本のクラフトビールシーンについて詳しくは、日本のクラフトビール探訪記もご覧ください。
ダンクビールの楽しみ方完全ガイド
飲み方のポイント
- 🌡️ 温度:10-12℃ – 冷やしすぎると香りが閉じてしまいます
- 🍺 グラス:IPAグラス – 香りを楽しめる形状を選びましょう
- 🍻 注ぎ方:泡を立てる – 泡が香りを解放させます
フードペアリング
ダンクな苦味と香りに合う料理:
- スパイシーな料理(カレー、中華料理)- ダンクの重い香りがスパイスの刺激を和らげます
- 脂っこい肉料理 – 樹脂質の苦味が脂をカットします
- 熟成チーズ – 複雑な香りの相乗効果が楽しめます
- ハーブを使った料理 – ハーバルな香りが料理と調和します
ダンクの誤解を解く – よくある間違い

ダンクって苦いビールのことじゃないのワン?みんな間違えやすいポイントは?

実は多くの人が誤解しているホプ!ダンクはホップ由来の「香り」の特徴で、IBU値や知覚される苦味強度とは独立した概念ホプ!低IBUでもダンクなビールは存在するホプ!

そろそろ乾杯しよ(笑)要するに、ダンクは「香り」の話で、苦味の強さとは直接関係ないってことだね。
よくある誤解
❌ 誤解1:「飲み込んだ時の勢いや喉が焼ける感じ」
これはアルコール度数や炭酸の強さによるもので、ダンクとは関係ありません。
❌ 誤解2:「すべての苦いビールはダンク」
ダンクは特定の香りの特徴であり、苦味の強さとは別の概念です。
❌ 誤解3:「パイニー(松の香り)=ダンク」
関連はありますが、パイニーとダンクは別の香り特徴です。
ダンクビールに関するよくある質問
Q: ダンクなビールは健康に悪影響はありませんか? |
A: ダンクな香りは天然のホップ由来で、健康への悪影響はありません。大麻に似た香りがしますが、精神作用を持つ成分(THC)は含まれていません。 |
Q: ダンクビール初心者におすすめの銘柄は? |
A: 「インドの青鬼」(ヤッホーブルーイング)がおすすめです。ダンクな特徴を持ちながら、フルーティーさもあり飲みやすいバランスです。 |
Q: なぜアメリカのIPAにダンクなものが多いのですか? |
A: アメリカ産ホップ(Columbus、Apollo等)にダンクな特徴を持つ品種が多く、またアメリカのクラフトビール文化がこの香味を積極的に評価してきたためです。 |
Q: ダンクとヘイジーIPAの関係は? |
A: ヘイジーIPAは主にトロピカルでジューシーな香りを追求するため、ダンクな特徴は控えめになることが多いです。ただし、両方の特徴を持つビールもあります。 |
Q: 家でダンクビールを楽しむコツは? |
A: 適温(10-12℃)で、適切なグラス(できればIPAグラス)を使い、泡を立てて注ぐことで香りを最大限楽しめます。開栓後は早めに飲み切りましょう。 |
まとめ – ダンクを理解してクラフトビールをもっと楽しもう
ダンクは、クラフトビール文化において重要な香味表現の一つです。大麻に似た独特の香りは、ホップとカンナビスが同じ植物科に属することから生まれる自然な特徴です。
この香りを「良い」と感じるかは個人差がありますが、クラフトビールの多様性を象徴する重要な要素として、世界中のビール愛好家に愛されています。
もしアメリカでダンクなIPAを飲む機会があったら、ぜひその複雑で奥深い香りを楽しんでみてください。それは単なる「苦いビール」ではなく、ホップが持つ豊かな表現力を体験する貴重な機会となるでしょう。アメリカのブルワリー訪問記はこちらでも紹介しています。
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アメリカのクラフトビール探訪記
現在シアトル在住の筆者が、本場アメリカとカナダのクラフトビールシーンを巡る旅の記録を公開しています。ロサンゼルスの人気醸造所からポートランドの隠れた名店、バンクーバーのユニークなタップルームまで、北米各地のブルワリー訪問レポートを発信中。地元でしか味わえない限定ビールや醸造家との対話など、北米のビール文化を深掘りしたコンテンツはこちらのカテゴリーページからご覧いただけます。
https://rihobeer.com/category/beer/brewpub/usa
日本のクラフトビール探訪記
2024年まで日本在住だった筆者が、全国各地のクラフトビールシーンを巡る旅の記録を公開しています。北は北海道から南は九州まで、日本全国の個性豊かなブルワリーを訪問。蔵元直営のタップルームから地域に根差したビアパブまで、日本のクラフトビール文化を体験するレポートを発信中。季節限定醸造や地元食材を活かしたユニークなビール、杜氏との対話など、日本のクラフトビールの魅力を深掘りしたコンテンツはこちらのタグページからご覧いただけます。
https://rihobeer.com/tag/japan-ja/
【参考情報】
本記事の作成にあたり、以下の情報源を参考にしました。(2025年6月時点)
• ホップの品種特性に関する各種醸造協会の公開資料
• BJCPビアスタイルガイドライン
• 各ホップサプライヤーの品種データシート
• クラフトビール専門メディアの解説記事
• 国内外のブルワリー公式サイトの製品情報
※情報は予告なく変更される場合があります。最新情報は各ブルワリーの公式SNSや公式Webサイトでご確認ください。
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