【サワービール銀賞受賞】RISE & WIN / KAMIKATZ BEYOND THE SEA 完全レビュー – 徳島の海塩と柑橘が織りなす爽快な味わい
徳島県上勝町の「RISE & WIN」が手掛ける「BEYOND THE SEA」は、IBC2019でアメリカンスタイルサワーエール部門銀賞を受賞した爽やかな酸味が特徴のクラフトビール。徳島の海水から作られた塩と伊予柑・柚子果汁を使用した、アルコール度数3.5%の夏にぴったりの一杯です。強めの炭酸と爽快な飲み心地で、魚介料理との相性も抜群のビールをレビューします。
この記事でわかること
- 「BEYOND THE SEA」の味わいプロファイルと特徴
- 上勝町のサステナブルなブルワリー「RISE & WIN」について
- サワービールの基本知識と楽しみ方
- 魚介料理など相性の良いペアリング提案

ルネちゃん
サワービールって普通のビールと何が違うワン?酸っぱいの?
りほ
サワービールは乳酸菌などによる発酵で酸味を持たせたビールだよ。ヨーグルトやレモネードのような爽やかな酸味が特徴なんだ。このビールは徳島の海塩と柑橘も使った夏にぴったりの一杯だね。
BEYOND THE SEAの基本情報
スタイル | Sour(Gose) |
---|---|
ABV(アルコール度数) | 3.5% |
IBU(苦味) | 3 |
SRM(色の濃さ) | 3.5 |
麦芽 | Pale malt, Wheat malt, Acid Malt, Flaked Barley |
ホップ | Saaz |
酵母 | Imperial Yeast /Juice |
副原料 | 伊予柑ピューレ、柚香果汁、海塩 |
受賞歴 | THE INTERNATIONAL BEER CUP 2019 American-Style Sour Ale(keg)部門 銀賞 |
【初心者向け解説:Gose(ゴーゼ)ビール】
ゴーゼは、ドイツ東部発祥の伝統的なビアスタイルで、小麦麦芽を使用し、乳酸発酵による酸味と塩の使用が特徴です。元々はゴーゼ川周辺で自然発生的に乳酸菌が混入して作られていましたが、現代では意図的に乳酸菌を加えて醸造されます。レモネードのような爽やかな酸味と、わずかな塩味のバランスが楽しめる、夏にぴったりのビアスタイルです。
醸造者からのコメント
◆BEYOND THE SEA◆
酸味が特徴の乳酸発酵。
山からの豊富なミネラルが注ぎ込む徳島の海水から作った塩を使用し、伊予柑と柚香果汁で柑橘のさわやかさをプラス。
強めの炭酸で爽快な飲み心地にしあげました。新鮮な魚介との相性はバツグンです。
出典: KAMIKATZ公式サイト
入手情報
どこで買える?
徳島県上勝町の「RISE&WIN本店」で2023年1月に購入しました。東京・東麻布にもタップルームがあり、季節限定で提供されることがあります。田町駅からも徒歩圏内なので、都内での入手も可能です。
ルネちゃん
東京でも飲めるんだワン!タップルームって何?
りほ
タップルームはブルワリーが直営するビールが飲める場所だよ。醸造元から直接提供されるので鮮度が高く、限定ビールも楽しめるんだ。東麻布のKAMIKATZタップルームなら、徳島まで行かなくてもこのビールが味わえるチャンスがあるね。
ブルワリーについて: RISE & WIN KAMIKATZ
RISE & WIN / KAMIKATZは、徳島県上勝町に拠点を置くブルワリーです。上勝町は2003年に日本で初めて「ゼロ・ウェイスト宣言」を行った環境先進地域で、人口1400人弱の小さな町ながら、環境保全の取り組みで世界的に注目されています。
このブルワリーは単にクラフトビールを製造するだけでなく、上勝町の持続可能な社会づくりの一翼を担っています。「美味しいクラフトビールを仲間とカジュアルに楽しむ。ただそれだけで、上勝の美しい環境を守り、社会課題を知る小さな “きっかけ” となる」という理念のもと活動しています。

ルネちゃん
ゼロ・ウェイストって何ワン?環境に良いの?
りほ
ゼロ・ウェイストとは「ごみをゼロにする」取り組みだよ。上勝町では住民が34種類もの分別をして、リサイクル率は約80%に達しているんだ。KAMIKATZブルワリーもこの理念に基づいて、環境負荷の少ないビール造りを目指しているよ。
クラフトビールレビュー
見た目(外観)
SRM値4の淡い金色で、透明度が高く美しい琥珀色を呈しています。泡立ちはやや弱めですが、繊細な白い泡が形成されます。グラスに注いだ際の視覚的な印象は非常に爽やかで、夏のビールにふさわしい見た目です。

香り
アロマ (鼻腔前方受動器)
岩塩の香りがまず感じられ、塩をかけたスイカを想起させる爽やかさがあります。わずかにシソのようなハーバルな香りと、きゅうりのような瓜系の青さも感じられます。全体的にはポカリスエットのような爽快なアロマが印象的です。
フレーバー(鼻腔後方受容器)
グレープフルーツやグァバ、ぶどうの皮、オレンジといった柑橘系のフレーバーが豊かです。口に含んだ際には、カルピスや濃いめのヤクルトを思わせる乳酸由来の酸味が感じられます。
ルネちゃん
「鼻腔前方受容器」と「鼻腔後方受容器」って何が違うんだワン?難しいね…
りほ
簡単に言うと、「アロマ」はグラスから立ち上る香りで鼻で直接感じるもの、「フレーバー」は口に含んだときに喉や鼻の奥から感じる香りだよ。同じビールでも、鼻で嗅ぐときと口に含んだときでは違う香りを感じることが多いんだ。
味わい
口当たり
自然な炭酸のきめ細かさを感じる口当たりで、やや軽めのボディ感です。最初の印象はビールらしい自然さがあり、爽やかさを強く感じます。
コクと質感
ヤクルトのような乳酸由来の酸味と、しっかりとしたモルトの存在感、そこにアルコールの持ったりした印象が調和しています。口当たりの軽さからは予想できないコクの深さがあり、わずかなギャップを感じます。
飲み込む瞬間
とにかく爽やかな印象が広がります。オロナミンCのような栄養ドリンクの飲みごたえから糖分を減らし、レモン系の炭酸水を飲み込んだような清涼感があります。
後味
ポカリスエットと岩塩を思わせる爽やかな後味が続きます。わずかにレモンの酸味とヤクルト感が残りますが、すっきりとした余韻で、次の一口を誘います。
底に残った最後の一口
ポンカンのような甘さと果物の風味が凝縮されています。嫌な苦みや渋みは全く感じられず、最後まで美味しく飲み切れるビールです。
味わい要素 | 強度(1-5) | 特徴 |
---|---|---|
苦味 | 1/5 | ほとんど感じられない優しさ |
酸味 | 4/5 | 乳酸由来のヨーグルト系酸味と柑橘の爽やかさ |
塩味 | 3/5 | 海塩の自然な塩味が全体を引き締める |
甘味 | 2/5 | 柑橘の自然な甘みがわずかに感じられる |
ボディ | 2/5 | 軽快でありながら存在感のあるボディ |
テイスティングノート(評価)
アロマ (10点満点): 9点
モルト感(2/3点)、ホップの香り(3/3点)、その他の香り特性(4/4点)のバランスが素晴らしく、海塩と柑橘の香りが絶妙に調和しています。
外観印象(6点満点): 4点
色合い(2/2点)と透明度(2/2点)は完璧ですが、泡持ちが弱め(0/2点)なのが惜しい点です。
フレーバー(19点満点): 16点
モルト(2/3点)、ホップ(3/3点)、状態(2/2点)、アフターテイスト(3/3点)はどれも高水準。バランス(2/4点)については、柑橘感と塩味が前面に出すぎていて、モルトやイーストのニュアンスが若干感じづらい点が気になります。その他の特徴(4/4点)は素晴らしいです。
岩塩の主張がやや強く、他の要素を少しだけ抑えているような印象があります。
ボディ(5点満点): 4点
全体的にしっかりとしたボディ感がありますが、柑橘の爽やかさを考えると、もう少し軽めのボディ感でも良かったかもしれません。
全体印象(10点満点): 8点
トータル(50点満点): 41点
このビールを楽しむための提案
最適な飲用温度
4〜7℃の冷やした状態がおすすめです。暑い夏場なら、氷を入れたクーラーボックスで冷やして飲むとより爽快感が増します。あまり冷やしすぎると繊細な柑橘の風味が抑えられてしまうので注意しましょう。
おすすめのペアリング
公式サイトでも推奨されているように、新鮮な魚介料理との相性は抜群です。特に以下の料理との組み合わせがおすすめです:
- 海鮮カルパッチョ(レモンや塩との相性が良い)
- タイやヒラメなどの白身魚の刺身
- パクチーとレモンを効かせたタイ風サラダ
- シーフードパスタ(特にペペロンチーノ)
- 牡蠣や海老などの焼き魚介
また、公式サイトでは「クラッシュアイスを詰めたグラスに注ぎ、お好みでシロップをいれて、カクテルのように飲んでも美味しい」とあります。暑い夏場のアレンジとして試してみる価値があります。
ルネちゃん
魚介以外に合わせるなら何がいいワン?
りほ
塩味と酸味が特徴だから、フライドポテトやナッツなどの軽い塩味のあるスナックとも相性抜群だよ。また、パクチーなどハーブを使ったアジア料理ともマッチするね。夏野菜のサラダに塩をふってこのビールと楽しむのもおすすめだよ。
全体的な印象
BEYOND THE SEAは、ポカリスエットを想起させるような爽やかさを持ちながら、しっかりとしたクラフトビールとしての風味も楽しめる非常にバランスの取れたサワービールです。アルコール度数3.5%と低めで、暑い季節に何本でも飲みたくなる軽快さが魅力です。
岩塩と柑橘の組み合わせが絶妙で、単なる酸味だけではない複雑な味わいを生み出しています。ビアスタイルに忠実でありながら、上勝町ならではの地域性も感じられる一杯で、ゼロ・ウェイスト活動のような環境への配慮も含めて、飲む価値のあるクラフトビールです。
よくある質問
Q: このビールはどのくらい保存できますか? |
A: サワービールは基本的に早めに飲むことをおすすめします。冷蔵保存で購入から1〜2ヶ月以内に飲むのが理想的です。時間経過とともに酸味のバランスが変わる可能性があります。 |
Q: 一般的なIPAやラガーとの違いは何ですか? |
A: このビールはホップの苦みではなく、乳酸発酵による酸味と塩味が特徴です。通常のビールよりも酸味が強く、レモネードやヨーグルトドリンクに近い爽やかな飲み口が楽しめます。 |
Q: 似たようなビールでおすすめはありますか? |
A: 国内では「Far Yeast Brewing」の「GOSE」や「Ushitora Brewery」の「Shio Sour」など、海外ではドイツの伝統的なゴーゼや、アメリカの「Anderson Valley」の「The Kimmie, The Yink & The Holy Gose」なども試してみる価値があります。 |
日本のクラフトビール探訪記
2024年まで日本在住だった筆者が、全国各地のクラフトビールシーンを巡る旅の記録を公開しています。北は北海道から南は九州まで、日本全国の個性豊かなブルワリーを訪問。蔵元直営のタップルームから地域に根差したビアパブまで、日本のクラフトビール文化を体験するレポートを発信中。季節限定醸造や地元食材を活かしたユニークなビール、杜氏との対話など、日本のクラフトビールの魅力を深掘りしたコンテンツはこちらのタグページからご覧いただけます。
https://rihobeer.com/tag/japan-ja/
アメリカのクラフトビール探訪記
現在シアトル在住の筆者が、本場アメリカとカナダのクラフトビールシーンを巡る旅の記録を公開しています。ロサンゼルスの人気醸造所からポートランドの隠れた名店、バンクーバーのユニークなタップルームまで、北米各地のブルワリー訪問レポートを発信中。地元でしか味わえない限定ビールや醸造家との対話など、北米のビール文化を深掘りしたコンテンツはこちらのカテゴリーページからご覧いただけます。
https://rihobeer.com/category/beer/brewpub/usa
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