【青みかんセゾン】Yorocco / Harvest Saison 2023 完全レビュー – フレッシュな地元素材が織りなす秋の味覚

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りほ

ITエンジニア兼ビールエンスージアスト

IT技術とビール愛を融合させた活動を展開中。日本のビアジャッジ資格保持者として2024年JGBAでの審査経験あり。現在はシアトル拠点で、日米のクラフトビール文化を比較しながら、情熱を注いでいます。趣味でビール関連アプリの開発も行っています(詳細はGitHubにて)。

ブルワリー向けにWebサイト刷新、SEO対策、AIを活用したペルソナ分析、プロンプトエンジニアリングなど、IT知識を活かしたサポートが可能です。「ブルワリーの魅力が正しく伝わる世界」を目指して、純粋な情熱でクラフトビールを応援しています。ビールとテクノロジーの融合についてご興味があれば、お気軽にご連絡ください🍻


【青みかんセゾン】Yorocco / Harvest Saison 2023 完全レビュー – フレッシュな地元素材が織りなす秋の味覚

#りほびーる No. 478】毎年11月の収穫祭に合わせてリリースされる神奈川県逗子発、ヨロッコビールの人気限定醸造「Harvest Saison 2023」をレビューします。鎌倉産青みかんの爽やかな酸味とセゾン酵母の複雑な香りが調和した秋の味覚を徹底解説します。

この記事でわかること

  • ヨロッコビールの特徴と醸造哲学
  • 青みかんを使った特別醸造ビールの味わいプロファイル
  • セゾンスタイルの基本知識とバリエーション
  • このビールに合う料理や楽しみ方

ルネちゃん

毎年この時期恒例のビールなんだワン!ヨロッコのハーベストセゾン!楽しみにしてたけど、どんな特徴があるのかな?


りほ

地元素材を活かした季節限定ビールだよ。これまで毎年11月3日頃のヨロッコビール主催「収穫祭」に合わせて醸造されてきた特別なセゾンで、鎌倉産の新鮮な青みかんを手絞りして使用しているそうだよ。爽やかな酸味が特徴だって。

ヨロッコビールの基本情報

ブルワリー名ヨロッコビール
所在地神奈川県逗子市久木
設立年2012年
公式サイトヨロッコビール 公式サイト
公式SNSInstagram
代表銘柄Peninsula Saison, Amber Saved My Life, Bright Moments, Dry Hop Farmhouse Ale, Stammtisch Helles

ブルワリーの特徴と醸造理念

ヨロッコビールは、地元の水とイギリス産・ドイツ産の麦芽、アメリカ産ホップを使用し、地域の果物やスパイスも取り入れた多彩なレシピでビールを醸造しています。酵母が生きている熱処理やろ過処理を行わないビールが特徴です。また、「Drink Local」のコンセプトを掲げ、地元のイベントに積極的に参加し、ラベルデザインも地元アーティストに依頼するなど、地域密着型のクラフトビール文化を育んでいます。

ヨロッコビールは2012年11月に販売販売が開始された。ブランド名の由来は「『喜びのビール』をもじっただけ」と笑うが、「楽しさをふくらませ、悲しいときには元気に、辛いときにはリラックスさせてくれるビールになってほしい」という思いが込められている。そして図らずも’Your Local Beer’ につながる命名となった。

Japan Beer Times より https://japanbeertimes.com/2014/08/yorocco-beer/?mode=ja

ルネちゃん

ヨロッコという名前には意味があるんだワン!どんなビールが人気なの?


りほ

ヨロッコはセゾン系が特に評価されているみたいだよ。スタイルとしてはアメリカンなテイストも取り入れつつ、ベルギービールへのリスペクトを感じさせる醸造スタイルが特徴のようだね。伝統と革新のバランスを大切にしているブルワリーという印象があるよ。

Harvest Saison 2023 ビール詳細

クラフトビールのスペック

ビアスタイルFarmhouse Ale with Ao-Mikan (青みかん使用ファームハウスエール)
アルコール度数5.0%
製造国日本(神奈川県)
特別使用素材鎌倉産青みかん
リリース2023年11月(年次限定)
購入場所The Slop Shop
購入時期2023年11月

毎年11月3日にヨロッコビール主催で開催している「収穫祭」に合わせて醸造し、リリースしている青みかんを使ったセゾン。ベースとなるビールはヨロッコらしいシンプルで素朴なセゾン/ファームハウスエール。そこにブルワリーがいつもお世話になっている鎌倉の「もっちゃん」の畠でフレッシュな青みかんを収穫し、それを手絞りでジュースにしてビールの発酵タンクにイン。爽やかな酸味と青みかんの香りが鼻をくすぐるような、秋の味覚にもぴったりの一杯に仕上がった。収穫祭イベント用の図柄を描いてもらっている地元アーティスト「カザマナオミ」による、青みかんを連想させるような目に鮮やかなラベルも見逃せない。

The Slop Shopより https://theslopshop-tokyo.myshopify.com/products/d028-c35043

【初心者向け解説:セゾン/ファームハウスエール】

セゾンとは、ベルギーの農家が夏の収穫時期(セゾン=季節)に農作業をする人々のために醸造していた伝統的なビアスタイルです。軽やかでスパイシーな風味と爽やかな飲み口が特徴で、今日では世界中のクラフトブルワリーが様々なバリエーションで製造しています。果物やスパイスを加えることも多く、本作の青みかんのような風味付けは伝統とも調和した現代的なアプローチです。

ヨロッコビール ハーベストセゾン2023のボトル正面。鮮やかなグリーンのラベルには地元アーティストによるデザインが施されている。
Harvest Saison 2023 ボトル正面

ルネちゃん

ラベルのデザインが鮮やかで目を引くワン!誰がデザインしたの?


りほ

このラベルは地元アーティスト「カザマナオミ」さんの作品だよ。収穫祭イベント用にデザインされていて、青みかんをイメージした鮮やかなグリーンが特徴だね。公式情報によると、ヨロッコビールでは地元のアーティストとコラボすることで、地域に根差したクラフトビール文化を大切にしているそうだよ。

ビアスタイルガイド

セゾンスタイルの特徴


ルネちゃん

セゾンってどんなビールなの?いろんな種類があるみたいだけど違いがわからないワン…


りほ

ビアスタイルガイドラインによると、セゾンには主に「クラシック・セゾン」と「スペシャルティ・セゾン」の2つがあるよ。クラシックは伝統的な製法に忠実なもので、スペシャルティは果物やスパイスなど特別な材料を加えたバリエーションだね。この青みかんを使用したビールは、特別な素材を加えている点から「スペシャルティ・セゾン」に分類できそうだよ。

クラシック・セゾン

クラシック・セゾンは麦わら色からライトアンバーの色合いで、フルーティなエステル香とスパイシーな香りが特徴です。アルコール度数は5.0-6.8%で、ホップの苦味は控えめ~中程度(20-38 IBU)。発酵度が高く、ドライな飲み口が特徴的です。

スペシャルティ・セゾン

スペシャルティ・セゾンはクラシック・セゾンをベースに、スパイス、ハーブ、フルーツなどの特別な素材を加えたビアスタイルです。アルコール度数は5.0-8.3%とやや幅広く、色合いも素材により様々です。このHarvest Saisonは青みかんを使用した典型的なスペシャルティ・セゾンと言えます。

テイスティングレビュー

見た目(外観)

やや濁りのある淡い黄金色(SRM 4-5程度)。自然なヘイズ感があり、非ろ過ビールの特徴が表れています。泡立ちはやや控えめで持続性は中程度。グラスに注ぐとオリ(酵母沈殿物)がはっきりと確認でき、生きた酵母の証です。

グラスに注いだヨロッコビール ハーベストセゾン2023。やや濁りのある淡い黄金色で、グラス底にオリ(酵母沈殿物)が見える。
グラス底に見えるオリ(酵母沈殿物)

香り

アロマ(鼻から感じる香り)

麦茶のような甘さと紅茶のような香りが最初に感じられます。お茶っぽい印象が全体を支配しており、ホップの香りは控えめです。青いミカンの皮の爽やかな香りが特徴的で、完熟した甘いミカンではなく、フレッシュで若々しい青みかんの風味です。勢いよく嗅ぐとセゾン酵母由来のフェノール香(スパイシーな香り)も感じられます。

フレーバー(口に含んだときに感じる香り)

みかんとセゾン酵母の複雑な香りが口の中に広がります。少しだけ木の蜜のような甘い香りも感じられ、自然の風味が豊かです。


ルネちゃん

「フェノール香」って何?難しい言葉だワン…


りほ

フェノール香は特定の酵母が生み出す香りの一種だよ。クローブ(丁子)やコショウのようなスパイシーな香りが特徴で、特にベルギー系のビールやセゾンでよく感じられるものだよ。「スパイスを入れていないのにスパイシー」と表現されることもある特徴で、セゾンスタイルの魅力の一つとされているんだ。

味わい

口当たり

自然で素朴なビールらしい口当たりで、やや甘さを感じます。蜜のような滑らかさがあり、青みかんの爽やかな酸味がアクセントになっています。

コクと質感

ボディは中程度で、重すぎず軽すぎない絶妙なバランス。フレッシュな果実感が強く、青みかんの心地よい酸味とモルトの穏やかな香ばしさが見事に調和しています。柑橘系の中でもスダチに近い爽やかな酸味が、全体を引き締めています。

フィニッシュ(飲み込む瞬間)

ダンク(重たく湿った)な要素はまったくなく、とにかく爽やかに喉を通り抜けていきます。飲み込む瞬間に鼻の奥に青みかんの爽快な香りが広がり、心地よい余韻を残します。

後味

ドライな後味が特徴的で、紅茶のような風味が口の中に爽やかに残ります。のどごしの良さと余韻のバランスが絶妙です。

ボトル底部(オリを含む部分)

ボトル底部のオリ(酵母沈殿物)を含んだ部分では、酸味と柑橘系の風味がより強くなります。オレンジの皮のような香りが強調され、酵母由来のミルキーさも感じられます。青みかんの風味と酵母の味わいが複雑に絡み合い、より野性的な印象となります。


ルネちゃん

オリって飲んでもいいの?初心者には怖いワン…


りほ

オリは一般的に飲んでも問題ないとされているよ。非ろ過・非加熱のクラフトビールでは酵母由来の風味を楽しむ要素の一つと考えられているんだ。好みによって混ぜて飲んだり、別にして飲み比べるのも楽しみ方の一つだね。多くの小規模醸造所では、このオリが「生きたビール」の特徴とされることが多いよ。

味わいプロファイル

味わい要素強度(1-5)特徴
苦味3/5控えめながら青みかん由来の爽やかな苦みが心地よい
甘味2/5モルト由来の自然な甘さが感じられるが主張しすぎない
酸味4/5青みかん由来の爽やかな酸味が特徴的
ボディ3/5中程度で飲みやすく、夏から秋の季節転換期にぴったり
アロマ強度4/5柑橘系と紅茶のような複雑な香りが鼻腔をくすぐる

テイスティングノート評価

アロマ(10点満点)10点モルト(3/3)、ホップ(3/3)、その他(4/4) – ミカンのほどよい酸味が素晴らしい
外観印象(6点満点)3点色(2/2)、透明度(1/2)、泡持ち(0/2) – やや濁りが強い
フレーバー(19点満点)18点モルト(3/3)、ホップ(3/3)、状態(2/2)、アフターテイスト(3/3)、バランス(3/4)、その他(4/4) – ややミカンが支配的な印象があるものの、許容範囲
ボディ(5点満点)5点理想的な軽やかさとコクのバランス
全体印象(10点満点)7点セゾンスタイルとしての完成度が高く、季節感も良好
トータルスコア(50点満点)43点優れたスペシャルティ・セゾン
★★★★☆
総合評価: 4.3/5.0

全体的な印象と推奨シーン

個人的な評価としては、完成度の高いスペシャルティ・セゾンだと感じました。青みかんの酸味とセゾン酵母のフェノール(スパイシーな香り)の相性が良く、秋の味覚を表現しています。このタイプのビールは、以下のようなシーンで楽しめそうです:

  • 秋の夕暮れ時のアペリティフ(食前酒)として
  • 和食、特に柑橘系の風味を使った料理との相性が良い
  • さっぱりとした魚料理や鶏肉の塩焼きとのペアリング
  • フレッシュハーブを使ったサラダに合わせて

ルネちゃん

このビールと一緒に食べるならどんな料理がいいワン?


りほ

このビールの青みかんの爽やかな酸味を考えると、和食と合わせるのが良さそうだね。例えば、塩焼きの白身魚や柚子胡椒を使った鶏料理、さっぱりとした天ぷらなどが考えられるよ。個人的には、味の濃いソースやスパイシーな料理よりも、このビールの繊細な風味を楽しめるさっぱりした料理と合わせるのがおすすめかな。

よくある質問

Q: このビールは毎年発売されるの?
A: 過去には11月3日頃のヨロッコビール主催「収穫祭」に合わせて限定リリースされてきました。将来のリリースについては公式情報をご確認ください。また、その年の青みかんの出来によって風味は変わる可能性があります。
Q: オリ(底に溜まった酵母)は飲んでも大丈夫?
A: 完全に安全です。むしろセゾンスタイルではこのオリも含めて楽しむことをおすすめします。より複雑な酵母由来の風味が楽しめます。
Q: 他のセゾンと比べてどんな特徴がある?
A: 通常のセゾンと比べて、青みかん由来の爽やかな酸味と柑橘系の香りが特徴的です。一般的なセゾンよりもフルーティーで、日本の四季を感じられる独自性があります。

日本のクラフトビール探訪記

2024年まで日本在住だった筆者が、全国各地のクラフトビールシーンを巡る旅の記録を公開しています。北は北海道から南は九州まで、日本全国の個性豊かなブルワリーを訪問。蔵元直営のタップルームから地域に根差したビアパブまで、日本のクラフトビール文化を体験するレポートを発信中。季節限定醸造や地元食材を活かしたユニークなビール、杜氏との対話など、日本のクラフトビールの魅力を深掘りしたコンテンツはこちらのタグページからご覧いただけます。

https://rihobeer.com/tag/japan-ja/

アメリカのクラフトビール探訪記

現在シアトル在住の筆者が、本場アメリカとカナダのクラフトビールシーンを巡る旅の記録を公開しています。ロサンゼルスの人気醸造所からポートランドの隠れた名店、バンクーバーのユニークなタップルームまで、北米各地のブルワリー訪問レポートを発信中。地元でしか味わえない限定ビールや醸造家との対話など、北米のビール文化を深掘りしたコンテンツはこちらのカテゴリーページからご覧いただけます。

https://rihobeer.com/category/beer/brewpub/usa

ヨロッコビールの他のレビューはこちら

https://rihobeer.com/tag/yorocco

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