【2025年6月9日】日本クラフトビールニュース

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りほ

ITエンジニア兼ビアジャッジ

IT技術とビール愛を融合させた活動を展開中。日本のビアジャッジ資格保持者として2024年JGBAでの審査経験あり。現在はシアトル拠点で、日米のクラフトビール文化を比較しながら、情熱を注いでいます。趣味でビール関連アプリの開発も行っています(詳細はGitHubにて)。

ブルワリー向けにWebサイト刷新、SEO対策、AIを活用したペルソナ分析、プロンプトエンジニアリングなど、IT知識を活かしたサポートが可能です。「ブルワリーの魅力が正しく伝わる世界」を目指して、純粋な情熱でクラフトビールを応援しています。ビールとテクノロジーの融合についてご興味があれば、お気軽にご連絡ください🍻


最終更新日: 2025年6月9日

このレポートでは、日本のクラフトビール産業の最新動向、市場分析、業界トレンドについて包括的にまとめています。ブルワリー関係者、投資家、ビール愛好家の方々に有益な情報を提供します。

市場概要 – 最新のデータとトレンド

市場規模と成長率

2024年市場規模: 80億USドル(約1兆2,000億円)
2033年予測: 234億USドル(年平均成長率12.61%)
国内出荷量: 43,745キロリットル(2022年)
市場シェア: 全ビール市場の約1%

ブルワリー数の推移

2024年現在: 全国で800以上のブルワリーが稼働
成長率: 2014年の200-300軒から約3倍増
地域分布: 中部地方44%、関東地方21%

消費者動向

主要年齢層: 20-40歳(特に30-35歳が中核)
購買チャネル: スーパー・コンビニ45.5%、直営店27.3%、オンライン13.6%
購買動機: 多様性・選択肢(29.9%)、プレミアム品質(13.6%)

情報源: IMARC Group, お酒トレンド研究所, 日本経済新聞

最新ニュース(2025年5月)

岩手県クラフトビール地理的表示(GI)に向けた取り組み

岩手県
2025年4月

岩手県内の15のクラフトビール醸造所(ベアレン醸造所、いわて蔵ビール他)が協力して、日本初のクラフトビールGI認定を目指す取り組みを推進中。地域資源を活かした高付加価値のビールづくりを推進していく予定。

出典: ベアレンブログ, 2025年4月

ベアレン醸造所「コローニア」限定醸造

22周年記念ケルシュスタイル
ABV 5.0%

2003年の創業時に最初に醸造したケルシュスタイルビールを22周年記念として販売。軽やかで花のようなホップの香りが特徴。

出典: ベアレン醸造所公式サイト

オリオン75BEER「島色ペールエール」発売

沖縄県
2025年5月13日

沖縄県産大麦を使用した初のペールエール。日本酒のような発酵香と柑橘系の香りを組み合わせた独特の風味。沖縄のサンセットの情景を想わせる、心癒されるひとときを演出。

出典: オリオンビール公式, 2025年4月

今後3ヶ月のイベント・ビールフェスティバル(2025年6月-8月)

イベント名 開催期間 場所 特徴
JAPAN CRAFT FES 2025 6月13-15日 ラゾーナ川崎プラザ 国内プレミアムクラフトビールと音楽の3日間フェス
ENJOY! CRAFT 夏祭り 2025 6月21-22日(東京) 東京・京都 Spring Valley Brewery10周年記念、寿司×クラフトビール
J-WAVE INSPIRE TOKYO 2025 7月10-13日 代々木公園 30以上のブルワリー、東京最大級の屋外フェス
さっぽろ大通ビアガーデン2025 7月18日-8月13日 札幌市大通公園 日本最大級、13,000席、100種類以上のビール
つくばクラフトビアフェスト2025 8月1-3日 つくばセンター広場 約40ブルワリー、200種類以上のビール
データソース: 各イベント公式サイト, 2025年5月現在

ブルワリーの開業・閉鎖情報

閉鎖(2025年3月)

サッポロビール那須工場

栃木県那須郡那須町
2025年3月31日閉鎖

中期経営計画による製造最適化のため閉鎖。小容量の瓶・缶製品を製造していた工場で、全国5工場体制へ移行。

出典: サッポロビール公式発表

新規開業・計画中

  • AUGUST BEER
    小田原専用工場:開業予定2025年2月。クラウドファンディングで資金調達。売上予測約3億3800万円
  • 地域ブルワリー
    拡張計画:2025年夏に向けて複数の地域ブルワリーが拡張を発表。観光地向けの新規開業が増加傾向

注目のビールリリースと業界トレンド

2025年の主要リリース

  • ヤッホーブルーイング
    眠れる獅子2025:長期熟成バーレイワイン(4月発売)
  • セブンイレブン×ヤッホー
    ヘブンリーエイリアン:ヘイジーIPA(5月21日発売)
  • オリオン75BEER
    島色ペールエール:沖縄産大麦使用(5月13日発売)
  • Spring Valley Brewery
    ブランド刷新:全面的なブランド刷新を実施

業界トレンド2025

ノンアルコールクラフトビール

前年比30%以上の成長。健康志向の高まりを受けて、各ブルワリーが高品質なノンアルコール商品を開発。

プレミアム化とギフト市場

高品質パッケージ、贈答用需要増。特別な日のための限定醸造ビールが人気。

サステナビリティ

食品廃棄物利用、再生可能エネルギー使用。環境に配慮した醸造プロセスの導入が加速。

人気スタイル

ヘイジーIPA、ライスラガー(63%増)、セッションビール。低アルコールで飲みやすいスタイルが台頭。

日本クラフトビール人気ランキング【Untappdデータ】

消費者評価による最高評価ブルワリーTOP20

順位 ブルワリー名 タイプ 所在地 平均評価 評価件数
1 UCHU BREWING Micro Brewery 北杜市, 山梨県 4.02 67,880
2 Inkhorn Brewing Nano Brewery 豊島区, 東京都 4.02 15,921
3 Totopia Brewery Micro Brewery 長久手市, 愛知県 3.98 13,061
4 MAHOWBREW Nano Brewery 那覇市, 沖縄県 3.98 1,074
5 West Coast Brewing Micro Brewery 静岡市, 静岡県 3.97 90,735
6 GRANDLINE BREWING Micro Brewery 横須賀市, 神奈川県 3.92 1,077
7 Teenage Brewing Micro Brewery 比企郡, 埼玉県 3.92 8,374
8 Amakusa Sonar Beer Micro Brewery 天草市, 熊本県 3.92 5,924
9 Break Edge Beer Works Nano Brewery 広島市, 広島県 3.90 1,823
10 TKBrewing Micro Brewery 川崎市, 神奈川県 3.86 5,087
データソース: Untappd(2025年6月時点)

ランキング分析

地域分布の特徴

関東圏が最多で8ブルワリーがランクイン。全国に広く分布し、北海道から九州まで各地の優秀なブルワリーが評価を獲得。

注目ポイント

UCHU BREWINGが67,880件という圧倒的な評価数で1位を獲得。上位2ブルワリーが平均評価4.02の高スコア。小規模ブルワリーの躍進が顕著。

経済動向・資金調達・拡張情報

企業名 内容 詳細
AUGUST BEER クラウドファンディング FUNDINNOで実施、小田原新工場建設
ヤマトホールディングス 投資 Best Beer Japanに投資(2024年11月)
アサヒビール 計画延期 鳥栖新工場開業を2026年から2029年に延期(建設費高騰)
データソース: 各社公式発表, 2025年5月現在

初期投資要件

  • 小規模:500-800万円(1990年代の1億円以上から大幅減)
  • 中規模:4,500-6,000万円
  • 300L醸造設備:2,000-3,000万円

業界の課題と将来展望

主要な課題

課題 詳細 影響
流通 コンビニ・スーパーでの取り扱い限定的 消費者接点の制限
価格競争 クラフトビール350-500円 vs 大手200-300円 価格感受性の高い層への訴求困難
認知度 ビール愛好家以外への浸透が課題 市場拡大の制約
規制環境 複雑な免許取得、月次税務報告 新規参入障壁

将来展望

市場予測

2033年までに234億USドル市場へ(CAGR 12.61%)。国内シェア3-5%への拡大可能性。

成長要因

若年層(20-40歳)の60%がクラフトビールを支持。観光業の回復によるブルワリーツーリズム拡大。

ビールコンペティション情報【2025年最新版】

ジャパン・グレートビア・アワーズ2025

横浜パシフィコ横浜
2025年2月23-24日開催

日本国内で醸造されるビールに特化した審査会。石川酒造「多摩の恵 デュンケル」がミュンヒナースタイル デュンケル部門で金賞受賞。

詳細: 日本地ビール協会

ジャパンブルワーズカップ2025

横浜ハンマーヘッドCIQホール
2025年2月5-9日

ビール審査会とビールフェスティバルの融合。日本37社、韓国1社、アメリカ3社、カナダ1社など計43社が参加。

詳細: 公式サイト

ワールドビアカップ2025

インディアナポリス(米国)
2025年5月1日授賞式

世界最大かつ最も権威のあるプロのビール競技会。2024年は50カ国から2000以上のブルワリー、9300銘柄がエントリー。

詳細: Japan Beer Times

特殊ブルワリーカテゴリー

ファームブルワリー

  • ファーマーズブルワリー穂波
    島根県浜田市(2018年設立):有機さつまいも、黒豆、生姜等の農業副産物使用。「岩見式」手作り製法、1バッチ約130L。自社栽培の大麦・ホップで100%浜田産ビール開発中。

酒蔵併設ブルワリー

  • 木内酒造
    常陸野ネストビール(茨城県):1823年創業の200年以上の酒造り。1996年ビール事業開始。生産の70%を35カ国以上に輸出。
  • 世嬉の一酒造
    いわて蔵ビール(岩手県):1995年〜。日本酒製造技術とビール醸造の融合。

その他のユニークなブルワリー

  • 宝立山ブルワリー
    神奈川県:仏教寺院付属、「天上天下唯我独尊」シリーズ
  • シェアードブルワリー
    複数醸造者共有:複数の醸造者が設備を共有、新規参入の障壁を低減

まとめ

日本のクラフトビール産業は、2025年において力強い成長を続けており、800以上のブルワリーが全国で稼働しています。市場規模は2024年の80億USドルから2033年には234億USドルへと、年平均12.61%の成長が予測されています。

若年層を中心とした消費者の嗜好の多様化、健康志向、地域性を重視したプレミアム商品への需要が成長を牽引しています。一方で、流通の課題、価格競争、規制環境などの課題も存在しますが、ブルワリーツーリズムの拡大、輸出機会の増加、技術革新などにより、今後も持続的な成長が期待されます。

特に注目すべきは、日本独自の発展として、酒蔵がクラフトビール事業に参入する動きや、地域の農産物を活用したファームブルワリーの増加など、日本の伝統的な醸造文化とクラフトビールの融合が進んでいることです。これらの動きは、グローバル市場における日本のクラフトビールの差別化要因となり、今後の成長の原動力となることが期待されます。

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