【酒イーストビール】梅錦ビール 速醸(SOKUJO)の完全レビュー – 清酒酵母が織りなす華やかな吟醸香と優しい味わい
四国を代表する老舗蔵元「梅錦」が醸造する特別なビール「速醸(SOKUJO)」をレビューします。清酒酵母を使用したユニークなビールで、日本酒の香りとビールの爽やかさが融合した逸品です。一年間の熟成がもたらす深みと、7.0%というパワフルなアルコール度数ながら驚くほど飲みやすい味わいを徹底解説します。

この記事でわかること
- 清酒酵母を使用した「梅錦ビール 速醸」の特徴と魅力
- 日本酒のような香りとビールの味わいが融合した独特の風味プロファイル
- 1年間の熟成によって生まれるまろやかで柔らかい口当たり
- 四国の老舗蔵元「梅錦」の歴史とクラフトビール造りへの挑戦
- 「酒イーストビール」というユニークなビアスタイルの解説
ルネちゃん
梅錦ビールって初めて聞いたワン!どんなビールなの?
りほ
四国の老舗酒蔵「梅錦」が造るクラフトビールだよ。日本で最初のクラフトビール醸造免許を取得した蔵元の一つなんだ。この「速醸」は特に珍しい、清酒酵母を使った発泡酒だよ。
梅錦ビール 速醸の基本情報
ビール名 | 梅錦ビール 速醸(SOKUJO) |
ブルワリー | 梅錦山川株式会社(愛媛県) |
ビアスタイル | 酒イーストビール / 吟醸ビール |
アルコール度数 | 7.0% |
原材料 | 麦芽・米麴・米・ホップ |
容量 | 330ml |
価格 | 660円(税込) |
酒類区分 | 発泡酒(米麴使用のため) |
特徴 | 清酒酵母使用、1年間タンク熟成 |
購入場所 | 酒ハウスモリモト(徳島) |
購入時期 | 2024年1月 |
梅錦ビールとは?
梅錦ビールは1994年4月、ビール醸造免許の最低製造数量が60KLに引き下げられる規制緩和があり、その際に免許第1号を取得したパイオニア的存在です。山川家は明治5年に酒造業を創業し、100年以上の歴史を持つ酒蔵が、平成の規制緩和でクラフトビール醸造に挑戦しました。
国税庁の内免許1号はオホーツクビールと梅錦ビールの2社が同日に取得しています。1995年7月に「梅錦ガーデン丹原麦酒醸造所」をオープンし、ハーブガーデンを併設したユニークなビール園として地域の注目を集めました。
ルネちゃん
清酒酵母を使ったビールって珍しいワン?どんな特徴があるの?
りほ
とても珍しいよ。通常のビールはビール酵母で発酵させるけど、これは日本酒を造る時に使う酵母を使っているんだ。そのおかげで、日本酒のような吟醸香(フルーティで華やかな香り)が特徴的なんだよ。
【初心者向け解説:酒イーストビール】
酒イーストビールとは、ビール酵母ではなく清酒酵母(日本醸造協会の「K7号酵母」「K9号酵母」「K10号酵母」など)で発酵させて作ったビールのことです。通常のビールとは異なり、オレンジ、リンゴ、マスカット、メロン、バナナなどのフルーティな香りや、杉、伽羅などの香木の香り、時にはバターや練乳、椎茸、ブルーチーズのような複雑な風味が特徴です。一般的なビールよりも多様で複雑な風味を楽しめる、日本独自のビアスタイルと言えます。
「梅錦ビール 速醸(SOKUJO) 330ml」発売のご案内
【2023.3.14】
清酒酵母を使った日本酒のようなビールを数量限定で販売いたします。
ビール酵母を用いずに吟醸酵母を使った華やかな吟醸香が特徴です。
仕込を昨年1月に行い、1年間タンク内で熟成させました。熟成させたことで、まろやかで柔らかいクリアな味に仕上がっています。【商品名】梅錦ビール 速醸(SOKUJO) 330ml
公式サイトより https://www.umenishiki.com/contents/blog/info/1397.html
【価格】600円(税込660円)
【スタイル】酒イーストビール 又は 吟醸ビール
【原材料】麦芽・米麴・米・ホップ
【アルコール度】7.0%
【酒類区分】発泡酒*
【発売日】2023年 3月14日 数量限定
*酒税税率はビールと同じですが米麴を使用している為発泡酒の区分になります
テイスティングレビュー
ルネちゃん
ビールのテイスティングって難しそうだワン…どういう順番で味わうの?
りほ
心配しなくていいよ!まずは「見た目→香り→味わい→全体的な印象」の順番で楽しむといいんだ。今回の「速醸」は特に香りが特徴的だから、じっくり香りを楽しんでみてね。
見た目 (外観)
色合いは麦茶系の茶色で、SRM値は約5程度。透明度が高く、クリアな液体に少し琥珀色の輝きがあります。泡持ちはやや弱めですが、きめ細かい泡立ちが心地よい印象です。

香り
アロマ (鼻腔前方受動器)
清酒系の青りんごのような香りが最初に感じられ、それにベルギービールのようなフローラルな印象が重なります。奥にはモルトの甘さも感じ、とても心地よい複合的な香りを醸し出しています。鼻を近づけるとホップのさわやかな印象も強く、多層的な香りの構造が楽しめます。
フレーバー (鼻腔後方受容器)
口に含んだ時に感じる香りは、ホップのグレープフルーツの皮やぶどうの皮のような印象が強く現れます。Mosaicホップで感じるような味の抜けたガムに似たチクル感も検出できます。さらに三ツ矢サイダーのような爽やかさ、ラムレーズンや干し柿のような甘い香りが混ざり合い、複雑で魅力的な風味を形成しています。
ルネちゃん
チクル感って何ワン?難しい表現がいっぱいあるね…
りほ
チクルというのは、昔のガムの素になる樹液のことだよ。噛み終わったガムのような、ほのかに甘くて少し樹脂っぽい風味のことを表現しているんだ。Mosaicというホップの特徴的な香りなんだよ。
味わい
口当たり
非常に優しく滑らかな口当たりで、モルト由来の自然な柔らかさが特徴的です。モルトの優しさとアルコールの冷たさがバランスよく調和しており、7.0%というアルコール度数を感じさせないほど飲みやすさがあります。
コクと質感
モルトの甘みがかなり強く、ビスケットのような贅沢な印象があります。ドイツ系のドルトムンダー/エクスポートビールを連想させるようなモルト感が特徴的ですが、そこに日本酒のようなさわやかさが加わり、全くしつこくありません。三ツ矢サイダーのような爽やかな甘さも感じられ、アメリカンベルジャンビールに近い複雑さがあります。ラムレーズン味のハーゲンダッツのような華やかなホップ由来の丁寧な香りが口の中に広がり、とても贅沢な飲み心地を提供してくれます。
飲み込む瞬間
ダンク(濁り)さはまったくなく、クリアな印象です。炭酸のひっかかりが少しある程度で、清酒のようにするすると喉を通っていきます。後味のキレがよく、すっきりとした印象が続きます。
後味
ラムレーズンのような風味が口いっぱいに広がり、心地よい余韻が続きます。アルコール感は抑えられており、熟成による円熟した味わいが特徴的です。
瓶底の変化
瓶の最後の部分になると、途端に日本酒のような印象が強くなります。ラムレーズンや干しブドウのような甘さは健在ですが、アルコールの冷たさがより強調され、本体と全く印象が変わります。パンのような風味も感じられるものの、冷たさが際立ち、日本酒感が強くなります。ただし、日本酒としてみるとアルコール度数が低く感じられ、優しい味わいが特徴的です。
ルネちゃん
瓶底って味が変わるの?どうしてだワン?
りほ
いい質問だね!瓶底は沈殿物や酵母が少し溜まっている場合があるんだ。特に長期熟成させたこのビールは、瓶内での変化が楽しめるよ。日本酒感が強くなるのは、清酒酵母の特徴がより濃縮されているからかもしれないね。
味わいプロファイル
味わい要素 | 強度(1-5) | 特徴 |
---|---|---|
苦味 | 2/5 | 控えめでバランスの取れた心地よい苦み |
甘味 | 3/5 | モルト由来の自然な甘さ、ラムレーズンのような風味 |
酸味 | 1/5 | ほとんど感じられない、わずかにフルーティな酸味 |
ボディ | 3/5 | 中程度のボディ、なめらかでクリーンな口当たり |
アロマ強度 | 4/5 | 清酒酵母由来の華やかな吟醸香が特徴的 |
総合評価
評価詳細
アロマ (10点満点) | 9点 |
– モルト(3点満点) | 3点 |
– ホップ(3点満点) | 3点 |
– その他(4点満点) | 3点 |
外観印象(6点満点) | 5点 |
– 色(2点満点) | 2点 |
– 透明度(2点満点) | 2点 |
– 泡持ち(2点満点) | 1点 |
フレーバー(19点満点) | 18点 |
– モルト(3点満点) | 3点 |
– ホップ(3点満点) | 3点 |
– 状態(2点満点) | 2点 |
– アフターテイスト(3点満点) | 3点 |
– バランス(4点満点) | 4点 |
– その他(4点満点) | 3点 (やや ダイアセチルを強く感じた) |
ボディ(5点満点) | 5点 |
全体印象(10点満点) | 8点 |
トータル(50点満点) | 46点 |
全体的な印象
ベリーのようなフルーティな印象、清酒酵母の複雑な味わいとビールらしいモルティな味わいのバランスがとても優れた素晴らしいビールでした。特に甘さの表現の仕方が「お酒としての甘さ」という印象で非常に心地よく、単なる甘いビールとは一線を画しています。梅錦のビールづくりの歴史と技術が感じられる、味わい深い一本です。
ルネちゃん
どんな料理と合わせて飲むのがおすすめなの?
りほ
清酒酵母の複雑な風味があるから、和食との相性が抜群だよ。特に焼き魚や天ぷら、味噌を使った料理と合わせると味わいが引き立つね。洋食なら、スパイシーすぎないチーズ料理やローストチキンとも楽しめるよ。
よくある質問
Q: この梅錦ビール 速醸はどこで購入できますか? |
A: 梅錦ビールは一部の酒販店で取り扱いがあります。今回は徳島の「酒ハウスモリモト」で購入しました。また、四国地方の酒販店や専門店、オンラインショップでも時々見かけることがあります。数量限定醸造のため、見つけた際にはぜひ購入をおすすめします。 |
Q: 通常のビールと何が違うのですか? |
A: 最大の違いは使用している酵母です。通常のビールはビール酵母で発酵させますが、この「速醸」は日本酒造りで使用される清酒酵母(吟醸酵母)を使っています。そのため、日本酒のような華やかな吟醸香が特徴的で、より複雑で繊細な風味を楽しめます。また、1年間熟成させているため、非常になめらかで柔らかい口当たりが実現しています。 |
Q: アルコール度数が7.0%と高めですが、飲みやすいですか? |
A: 7.0%というアルコール度数ながら、驚くほど飲みやすいビールです。1年間の熟成によって角が取れ、なめらかな口当たりになっています。また、清酒酵母特有のフルーティな香りとモルトの自然な甘みがアルコール感を和らげ、バランスの取れた味わいを実現しています。アルコール度数を感じさせない危険な飲みやすさがあるため、飲みすぎにはご注意ください。 |
関連ビール情報
「酒イーストビール」や「吟醸ビール」と呼ばれる、このような清酒酵母を使用したビールに興味を持たれた方は、以下のような銘柄も試してみることをおすすめします:
- 木内酒造の「常陸野ネストビール 吟醸エール」
- 京都醸造の「一期一会」シリーズ
- COEDO「瑠璃」の季節限定の吟醸版
- 富士桜高原麦酒の「吟麗」
これらのビールは通常のクラフトビールとは一線を画す、日本独自の進化を遂げたビアスタイルとして注目されています。日本の酒造りの伝統とクラフトビールの革新が融合した、唯一無二の味わいをぜひお試しください。
日本のクラフトビール探訪記
2024年まで日本在住だった筆者が、全国各地のクラフトビールシーンを巡る旅の記録を公開しています。北は北海道から南は九州まで、日本全国の個性豊かなブルワリーを訪問。蔵元直営のタップルームから地域に根差したビアパブまで、日本のクラフトビール文化を体験するレポートを発信中。季節限定醸造や地元食材を活かしたユニークなビール、杜氏との対話など、日本のクラフトビールの魅力を深掘りしたコンテンツはこちらのタグページからご覧いただけます。
https://rihobeer.com/tag/japan-ja/
アメリカのクラフトビール探訪記
現在シアトル在住の筆者が、本場アメリカとカナダのクラフトビールシーンを巡る旅の記録を公開しています。ロサンゼルスの人気醸造所からポートランドの隠れた名店、バンクーバーのユニークなタップルームまで、北米各地のブルワリー訪問レポートを発信中。地元でしか味わえない限定ビールや醸造家との対話など、北米のビール文化を深掘りしたコンテンツはこちらのカテゴリーページからご覧いただけます。
https://rihobeer.com/category/beer/brewpub/usa
まとめ
梅錦ビール「速醸」は、清酒酵母を使用した非常にユニークで魅力的なビールです。日本酒のような華やかな吟醸香とビールらしいモルトの味わいが絶妙に融合し、1年間の熟成によってもたらされるなめらかで柔らかい口当たりが特徴的です。46/50点という高評価は、その複雑さとバランスの良さを物語っています。
四国を代表する老舗蔵元「梅錦」が、長年の酒造りの経験を活かして醸造した逸品であり、日本のクラフトビールの可能性と深みを感じさせてくれます。数量限定生産のため、見かけた際にはぜひ手に取ってみてください。ベリーのようなフルーティな風味と日本酒のような複雑さを持つこのビールは、クラフトビールファンにも日本酒ファンにもおすすめできる一本です。
あなたもこの「梅錦ビール 速醸」を飲んだことはありますか?感想や他におすすめの酒イーストビールがあれば、ぜひコメント欄でシェアしてください。
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