【AI活用】クラフトビール企画をゼロから生み出す方法 – ChatGPT 4oで実現した香水Hazy IPA開発記
この記事では、私がChatGPT 4oを活用してゼロからクラフトビール企画を立案し、「香水Hazy IPA」というユニークなコンセプトを生み出すまでの過程を詳しく紹介します。アイデア出しから企画書作成まで、AIと人間の強みを組み合わせた新しいアプローチをご紹介します。また、実際に使用したプロンプトと回答を公開しますので、ビール業界の方々がご自身のプロジェクトにすぐに活用できます。
この記事でわかること
- AIを使ったクラフトビール企画の発想法と整理術
- 革新的なビールコンセプト開発のための実践的プロンプト例
- AIと人間の得意分野を組み合わせた効率的な企画立案プロセス
- 実際に使ったプロンプト例とAIツールの活用方法
- 企画のブラッシュアップとコンセプト構築の手法

企画立案のきっかけ – 個性と革新を求めて
ビール会社の中の人として、「誰も理解してくれないが私はやりたい」という情熱ベースのアイデアを模索しているというストーリーです。私は普段、IT系の会社で新規事業開発なども担当しています。そこで活用している思考プロセスをクラフトビールに落とし込みました。
ビール会社の人間として、クラフトビールならではの「個性」と「革新性」を活かした商品開発を志向していきます。
しかし、斬新なアイデアを体系的に生み出す方法や、それを企画書として整理する手法に悩んでいました。そこで最新のAIツールであるChatGPT 4oを活用し、アイデア出しからコンセプト構築までを実施することにしました。
ルネちゃん
ビールの新しいアイデアって、どうやって考えればいいんだワン?みんなが驚くような企画が作りたい!
りほ
斬新なアイデアを考えるなら、まずは「誰も理解してくれない」けど「自分はやりたい」という情熱的なアイデアをたくさん出してみるといいよ。そこからブラッシュアップしていくんだ。
実践で使えるAIプロンプト集を公開
クラフトビール業界でAIを活用したいと考えている方々のために、実際に私が使用したプロンプトとその回答を以下のGitHubリポジトリで公開しています:
このリポジトリには、アイデア発想から詳細分析、市場調査計画まで、プロジェクト全体を通して使用したプロンプトが含まれています。企画開発の各段階で特に効果的だった3つのプロンプトを紹介します:
プロンプト1:斬新なアイデア発想
“あなたはクラフトビール業界の企画エキスパートです。私はビール会社の中の人として、「誰も理解してくれないが私はやりたい」という情熱ベースのアイデアを模索しています。クラフトビールならではの「個性」と「革新性」を活かした商品開発のアイデアを5つ提案してください。特に、Hazy IPAをベースにした斬新なアイデアを重視します。各アイデアには、以下の要素を含めてください: 1. アイデア名 2. 概要 3. なぜ理解されにくいか 4. なぜそれでもやりたいか”
ルネちゃん
このプロンプトのどこがいいんだワン?
りほ
「クラフトビール業界の企画エキスパート」という役割を与えつつ、「誰も理解してくれないが私はやりたい」という制約を設けたことがポイントだよ。業界知識の引き出しと創造的な発想を同時に促せるんだ。
このプロンプトから、以下のようなアイデア候補が生まれました:
アイデア名 | 概要 | なぜ理解されにくいか | やりたい理由 |
---|---|---|---|
野菜ジュースHazy | トマトやセロリを使った飲むサラダ風Hazy | 色味と味の想像が難しい | ペアリングや健康志向への挑戦 |
冷凍ホップ解凍ライブブリュー | 瞬間解凍ホップを使い、ライブ配信しながら醸造 | 工数・安定性が懸念される | 鮮度のリアル体験価値を創出 |
香水Hazy(選定) | ネロリやラベンダーなどの精油を使い、香水のように香るHazy IPA | 香りが強すぎる・バランスが難しい | 香りでビールの可能性を拡張したい |
音楽熟成Hazy | 音楽を流しながら発酵させる、音波×酵母の試み | 科学的根拠が薄い・スピリチュアル感 | 自分の世界観をビールで具現化 |
季節変化ビール | 温度により風味や色が変化するHazy IPA | 技術的難易度が高い | ビールと環境の関係性を表現 |
プロンプト2:コンセプト詳細分析
“香水Hazyについて分析してください。どのような香水を入れるとビールと相性がいいのかについて調べていきたいです。また、以下の項目を1-10のスケールで評価してください: 1. 革新性(どれだけ従来のビールの概念を超えているか) 2. 実現可能性(技術的に実現できる可能性) 3. マーケティング性(話題になる可能性) 4. 顧客体験(飲んだ人の驚きや喜びの強さ) 5. ブランド構築ポテンシャル(継続的な商品展開の可能性)”
ルネちゃん
どうしてコンセプトを数値評価するのがいいんだワン?
りほ
多角的な評価基準を設定することで感覚的ではなく構造化された分析ができるんだ。特に実現可能性とマーケティング性のバランスを見ることで、「夢のまま終わる企画」を避けられるよ。
【香水Hazyの詳細評価】
このプロンプトから、香水Hazyについて以下のような詳細な評価を得ることができました:
革新性 | 10/10 – ビールを「嗜好品」から「香りのアート」へ昇華させる挑戦。香水という他業界の文脈(フレグランス文化)をクラフトビールに持ち込む発想は前例がほぼ皆無。 |
実現可能性 | 6/10 – エッセンシャルオイルや香料添加の技術は既存のハーブビールなどで確立されているが、溶解性(油分)や揮発性、アレルゲン問題、法規制(特にEU)がハードル。 |
マーケティング性 | 9/10 – SNS映え、話題性、コラボ(香水ブランドとのタイアップ)など、バズる要素満載。「飲める香水」「香りで酔うビール」などキャッチコピーがつくりやすい。 |
顧客体験 | 8/10 – 香りによる感動体験は通常のHazy以上に強烈。香水好き・ビールファン双方に訴求可能。ただし、香り設計の精度が重要。 |
ブランド構築ポテンシャル | 8/10 – 季節限定や「香水調香師とのコラボ」シリーズなど、継続展開しやすい。香水分類ごとの定番ラインも可能。 |
【香水Hazyに適した香料成分】
さらに、ビールと相性の良い香料成分について詳細な分析も得られました:
系統 | 香料例 | 特徴 |
---|---|---|
柑橘系 | ベルガモット、グレープフルーツ、オレンジブロッサム | Hazy IPAのトロピカル感を増強。爽快で飲みやすい。 |
フローラル系 | ラベンダー、ネロリ、ローズマリー、ゼラニウム | 複雑なアロマに奥行き。香水らしさが強調される。 |
ハーバル系 | バジル、タイム、セージ | IPAのホップ香と調和し、奥深さを加える。 |
ウッディ系 | シダーウッド、パチョリ(少量) | ベースノートとして、余韻に印象を与える。 |
ティー系 | ジャスミン、アールグレイ精油(ベルガモット) | ソフトで上品。ノンアルにも応用可能。 |
プロンプト3:市場調査計画の立案
“実現のために市場調査をしたいです。webで手に入る情報のうち、最優先で調査するべき項目を教えてください。”
ルネちゃん
このプロンプト、すごくシンプルだけど、これでいいの?
りほ
シンプルな質問でも、前の対話の文脈を踏まえて回答してくれるんだ。「何を知りたいか」を明確にすることで、より実用的な回答が得られるよ。
【優先的な市場調査項目】
このシンプルなプロンプトから、具体的な市場調査計画を得ることができました:
- 既存の香り特化ビールの市場分析:ハーブビール、フルーツビール、スパイスビールなど、香りに特徴のあるビールの市場受容性と消費者反応
- 香水市場とクラフトビール市場の重複分析:両方の製品に興味を持つ消費者層の特定と特徴分析
- 食品用香料の法的規制調査:各国・地域における食品への香料添加に関する規制と許容量
- 香料成分の風味安定性テスト:熱処理、発酵過程、保存期間による香り成分の変化データ
- 競合他社・類似商品分析:香りを特徴としたアルコール飲料(ビール以外も含む)の成功事例と失敗事例
ビール業界でのAI活用ポイント
今回のプロジェクトから見えてきた、ビール業界でAIを活用する際の効果的なポイントをご紹介します:
- 専門性の高い役割設定:「クラフトビール業界の企画エキスパート」など、具体的な役割を与えることで、業界知識を引き出す
- 具体的な評価基準の設定:「革新性」「実現可能性」など、数値評価できる軸を設けて、客観的な分析を促す
- 「なぜそれでもやりたいか」の視点:技術的・商業的ハードルを認識しつつも、情熱の源泉を言語化することで、本質的な価値を明確にする
- 表形式での整理:複雑な情報を構造化して出力させることで、意思決定の材料として活用しやすくする
- 段階的な深掘り:広いアイデア出し→選定→詳細分析→実行計画という流れで、徐々に具体化していく
ルネちゃん
AIと人間のどっちがどんな役割をするのがいいんだワン?
りほ
AIは「多くのアイデア生成」「多角的な評価」「体系的な整理」が得意で、人間は「実際の風味評価」「現場知識の適用」「情熱に基づく判断」が重要なんだ。お互いの強みを活かす役割分担がポイントだよ。
「香水Hazy IPA」企画概要
AIとの協働で生まれた「香水Hazy IPA」の企画概要を紹介します。高い革新性と市場性を持つコンセプトであることがわかりました。
香水Hazy IPA プロジェクト概要
コンセプト:
「Eau de Hop」は、ビールの可能性を香りの領域で拡張する試みです。ネロリやラベンダーなどの香料として使われる天然素材を副原料に用い、グラスに注いだ瞬間から香水のように豊かな香りが広がるHazy IPAを開発します。視覚(濁った美しい色合い)、嗅覚(複雑で深みのある香り)、味覚(調和のとれた味わい)の三位一体の体験を提供します。さらに、香水の世界における香りの3段階構造(トップノート・ミドルノート・ベースノート)をビールでも表現し、飲み進めるにつれて変化する香りを楽しめる設計を目指します。
特徴的な要素:
• 香水の世界観をビールで表現した独創的アプローチ
• 精油成分を含む副原料とアロマホップの絶妙な組み合わせ
• 時間経過で変化する香りの層(トップ・ミドル・ベースノート構造)
• 季節や気分に合わせた複数のバリエーション展開
• 香水瓶を思わせるユニークなパッケージデザイン
• 香りの変化を楽しむテイスティング体験
期待される成果:
• クラフトビール界における革新的な表現方法の確立
• ビール以外の嗜好品(ワイン、香水など)ファンの新規顧客化
• 「香り」というアプローチによる新たなビール評価軸の創出
• SNS映えする視覚×嗅覚体験によるバイラル拡散
• 長期的には「香りで選ぶビール」という新たな市場セグメントの創出
まとめと次回予告
今回は、ChatGPT 4oを活用してクラフトビールの斬新な企画を立案するプロセスと、実際に使用したプロンプト例を紹介しました。AIを活用することで、従来の企画立案よりも多角的な視点からアイデアを発展させ、体系的に整理することができました。
実際のプロンプトと回答の詳細はGitHubで公開していますので、ぜひご自身のプロジェクトでも活用してみてください。
ルネちゃん
次はどんな内容を書く予定なんだワン?
りほ
次回の記事では別の角度からビール開発について検討する予定だよ。AIを活用した市場分析やアイデア検証の手法など、より実践的な内容を考えているんだ。実際のビジネスシーンで活用できる内容になるから楽しみにしていてね!
記事作成について
この記事は架空のストーリー設定に基づいています。実際には私はIT企業で新規事業企画に携わっており、その思考プロセスをクラフトビール開発という親しみやすい題材に置き換えてみました。日々の業務で活用しているAI活用術を、ビジネスパーソンの皆さんにも取り入れていただけるよう、具体例として示しています。
また、記事作成にあたり、@1Dozen1さんから「AIでできることの具体例を示すこと」というアドバイスをいただきました。実際のプロンプトとその回答を含める構成にしたのは、この助言のおかげです。貴重なフィードバックに感謝いたします。
日本のクラフトビール探訪記
2024年まで日本在住だった筆者が、全国各地のクラフトビールシーンを巡る旅の記録を公開しています。北は北海道から南は九州まで、日本全国の個性豊かなブルワリーを訪問。蔵元直営のタップルームから地域に根差したビアパブまで、日本のクラフトビール文化を体験するレポートを発信中。季節限定醸造や地元食材を活かしたユニークなビール、杜氏との対話など、日本のクラフトビールの魅力を深掘りしたコンテンツはこちらのタグページからご覧いただけます。

アメリカのクラフトビール探訪記
現在シアトル在住の筆者が、本場アメリカとカナダのクラフトビールシーンを巡る旅の記録を公開しています。ロサンゼルスの人気醸造所からポートランドの隠れた名店、バンクーバーのユニークなタップルームまで、北米各地のブルワリー訪問レポートを発信中。地元でしか味わえない限定ビールや醸造家との対話など、北米のビール文化を深掘りしたコンテンツはこちらのカテゴリーページからご覧いただけます。

よくある質問
Q: AIを使ったクラフトビール企画立案に必要なツールは? |
A: 基本的にはChatGPT 4oのようなAIチャットツールがあれば十分です。特に創造的な企画立案には最新の高性能AIモデルがおすすめです。プレゼン資料作成ならCanvaやBeautiful.ai、ビジュアル化が必要ならMidJourneyなどを追加すると良いでしょう。 |
Q: 香水Hazyのような斬新なアイデアを提案するときの注意点は? |
A: 革新的であると同時に実現可能性も考慮することが重要です。特に食品安全面や醸造技術的な実現性、原材料の調達可能性などを具体的に詰めていく必要があります。また、「なぜこれをやりたいのか」という熱意と「どんな価値を提供できるか」というビジョンを明確に伝えることで、理解者を増やすことができます。 |
Q: AIが出したアイデアの著作権は? |
A: 現時点では多くのAIツールでは、出力結果を商業利用できます。ただし、具体的な利用規約はツールによって異なるため、企画を実施する前に確認することをおすすめします。一般的にAIの出力に基づいて人間が大幅に改変・発展させた内容は、その人のオリジナル作品として扱われることが多いです。 |
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