はじめに|Culmination 跡地で再始動した、ポートランドの「ドイツ伝統派」
2026年5月、ポートランドの北東部 Kerns 地区まで足を運びました。NE Oregon Street 沿いのこの場所は、かつて多くのビアギークが通った Culmination Brewing の跡地です。今は、ジャーマンスタイル専門の Rosenstadt Brewery(ローゼンシュタット・ブルワリー) が新たに居を構えました。2025年8月29日に念願の初タップルームをオープンしました。創業からおよそ10年、契約醸造(ジプシーブルワー)として実力を磨いてきた彼らが、ついに「自分たちの店」を構えました。歴史的なタイミングでの訪問でした。
ヘイジー IPA とフルーツサワーが PDX シーンを席巻する2020年代後半、あえてドゥンケル・ヘレス・ピルスナーといった伝統的ドイツラガーで勝負する硬派なブルワリーは貴重な存在です。実際に飲んでみると、モルティなボディに柑橘ホップの爽快感が乗った、ごまかしの効かない誠実な一杯。本記事では、Rosenstadt の歩みとビールの実飲レビューを、公式情報と一次ソースをもとにお届けします。Culmination 跡地ならではの店内の雰囲気や、ポートランドビアシーンにおける位置づけにも触れていきます。
🏛️ ブルワリーの歩みと醸造哲学
Rosenstadt Brewery は、Tobias Hahn 氏 と Nick Greiner 氏 の2人によって、2015年に創業されました。Hahn 氏はドイツ・フライブルク(Wiehre 地区)出身で、微生物学博士号を持つ醸造責任者。Greiner 氏はホスピタリティ・リテールマーケティング業界のキャリアを持ち、ドイツ人女性をパートナーとするオペレーション担当です。2人が出会ったのは2013年、ポートランドの German American Society。互いの子どもがドイツ語クラスに通っていた縁で知り合い、その日のうちに「ドイツビールを作りたい」という共通の想いで意気投合したという、ビアギークなら胸が熱くなるエピソードを持っています。
創業当初から一貫して掲げているのは 「ドイツビール純粋令(Reinheitsgebot)」 に則った伝統スタイルの醸造哲学です。主力スタイルは、ケルシュ、ヘレス、ピルスナー、ドゥンケル、アルトビアといったジャーマンクラシック。ケルシュはケルン発祥の上面発酵金色エール、ヘレスはミュンヘン淡色ラガー、アルトビアはデュッセルドルフ発祥の上面発酵銅色エールが代表格です。これらを麦芽の旨味とノーブルホップ(ザーツ、ハラタウ、テットナンガーなどドイツ伝統品種)の繊細なアロマで丁寧に組み立て、苦味と香りの双方を整えます。創業から10年間は自社醸造所を持たず、他ブルワリーの設備の空き時間を借りる「ジプシーブルワー」として活動。それでも主要コンペで複数メダルを獲得し、確かな技術力を業界内で証明してきました。US Open Beer Championship、World Beer Cup、New York International Beer Competition がその代表例です。
転機は 2025年8月29日。長年愛された Culmination Brewing が閉店した跡地(2117 NE Oregon Street)を引き継ぐ形で、念願の 直営タップルーム がオープン。Hahn 氏のキャッチフレーズが、ようやく一つの実体ある拠点に結実したのです。それは「Black Forest(黒い森)に片足を、Cascade(カスケード山脈)にもう片足を置いて、伝統的ドイツビールにモダンな解釈を加える」というもの。ヘイジーやフルーツサワーが PDX シーンの主流となるなか、伝統スタイル一本で勝負する姿勢は、ポートランドのジャーマンビール文化を守る稀有な存在として、地元ビアコミュニティから高く評価されています。
📍 アクセス・基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | Rosenstadt Brewery。 |
| 住所 | 2117 NE Oregon Street, Suite 703, Portland, OR 97232(Kerns 地区/旧 Culmination Brewing 跡地)。 |
| 営業時間 | 木・金 16:00–21:00 / 土・日 13:00–21:00(月〜水 休業)。 |
| 交通アクセス | TriMet バス 12 番(Sandy Blvd 経由)NE 21st & Oregon 停留所から徒歩1分。MAX Red Line ご利用時は NE 7th Ave 駅から徒歩 15 分。Sandy Blvd 沿いに有料パーキング数台、近隣に路上駐車スペース複数あり。 |
| 拠点タイプ | タップルーム専用(醸造施設は別契約・契約醸造ベース)。 |
| 公式サイト | rosenstadtbrewery.com |
| @rosenstadt_brewery | |
| 創業 | 2015年(タップルームは2025年8月29日オープン)。 |
| 創業者 | Tobias Hahn(醸造責任者・微生物学博士)/ Nick Greiner(オペレーション)。 |
🏠 店内の雰囲気|Culmination の記憶と、ドイツ伝統の新章
建物に入ってまず感じるのは、「あれ、ここ来たことがあるかも?」という既視感。長年 Culmination Brewing として営業されていた空間がベースになっているので、PDX のビアギークなら必ず一瞬戸惑うはずです。リノベーションは控えめで、Culmination 時代の骨格を残しつつ、ドイツらしい木目調のカウンターやノーブルなフォントの看板に置き換えられた、温かみのある内装に仕上がっています。
さらに嬉しいのは、提携店として Fressen Artisan Bakery(ポートランドの代表的なジャーマンベーカリー)が本場のドイツ風プレッツェルやペストリーを提供していること。伝統重視の Rosenstadt らしい配慮で、ビールとのペアリングが楽しめます。



🍺 飲んだビール詳細
訪問時には、看板スタイルのジャーマンラガーをフライト形式で楽しみました。特に印象に残った2杯を中心にレビューします。
1. ヘレス(Helles Lager)
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 苦味 | ★★☆☆☆(控えめでクリーン)。 |
| 甘味 | ★★★☆☆(モルトの優しい甘み)。 |
| 酸味 | ★☆☆☆☆(ほぼ感じない)。 |
| ボディ | ★★★☆☆(ミディアム、しっかりしたモルティさ)。 |
| アロマ | パン生地、ハーセン(ピルスナーモルト)、ノーブルホップの繊細な草の香り。 |
| スタイル / ABV | Munich Helles Lager / 約4.8% ABV。 |
モルティなボディに、爽快な柑橘ニュアンスのあるノーブルホップが心地よく乗っています。ピルスナーよりも丸みのある飲み口で、長時間ゆっくり楽しめるタイプ。「のんびり飲めるビールがおいしいのは、本当にありがたい」と感じる一杯でした。
2. ドゥンケル(Dunkel Lager)
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 苦味 | ★★☆☆☆(穏やか)。 |
| 甘味 | ★★★★☆(ローストモルトのリッチな甘み)。 |
| 酸味 | ★☆☆☆☆。 |
| ボディ | ★★★★☆(フルボディ、しかし飲み疲れない)。 |
| アロマ | キャラメル、トースト、ダークチョコレート、ノーブルホップの土のニュアンス。 |
| スタイル / ABV | Munich Dunkel Lager / 約5.2% ABV。 |
ローストモルトのカラメル感とトーストされた香りが豊か。ABV(アルコール度数)はそれほど高くないのに、しっかりした飲み応えがあります。ジャーマンビールの「重さと飲みやすさの両立」という哲学が体現された一杯です。



🌐 Web 評価・口コミ(実調査データ)
主要レビューサイトでの評価を実際に確認しました(2026年5月時点)。
- Untappd:Rosenstadt のフラッグシップ「Kölsch」「Helles」共に 3.7〜3.8/5 と、ジャーマンスタイル系で安定した高評価。
- Google マップ:タップルームオープン後の新規レビュー多数。「PDX で本格的なドイツビールが飲める貴重な場所」「店主と話せて温かい」といったコメントが目立つ。
- BeerAdvocate:ジプシー時代から「Reinheitsgebot を守る職人気質」として業界誌・愛好家から評価。
主要メディアでの取り上げも目立ちます。New School Beer + Cider、Bridgetown Bites、Willamette Week、Sip Magazine など、地域メディアが繰り返し特集を組んでいます。

🏆 受賞歴ハイライト
Rosenstadt は契約醸造時代から主要コンペで実力を示してきました。主な受賞は以下のとおりです(公式記録で確認)。
- World Beer Cup 2022:ブロンズメダル(German-Style Altbier)。
- New York International Beer Competition 2021:ゴールドメダル(German-Style Brown Ale)。さらに Düsseldorf-Style Altbier 部門でも受賞。
- US Open Beer Championship 2020:ブロンズメダル(German Kölsch)。
このほか、複数年にわたって主要コンペでメダルを獲得しています。本記事末尾に主要コンペでの受賞一覧をまとめています。
📷 SNS 投稿(Instagram)
🍻 総合評価
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| ビール品質 | ★★★★☆(伝統スタイルで安定した高品質)。 |
| 店内雰囲気 | ★★★★☆(Culmination 跡地の歴史を活かした温かみ)。 |
| アクセス | ★★★☆☆(NE Portland、車かバスが便利)。 |
| スタッフ対応 | ★★★★★(醸造への情熱が伝わる)。 |
| 総合おすすめ度 | ★★★★☆ |



🗣️ 英語での注文ガイド(海外醸造所向け)
| 日本語 | 英語フレーズ例 |
|---|---|
| テイスティングフライトをお願いします | “Can I get a flight, please?”。 |
| ヘレスをパイントで | “I’ll have a pint of the Helles.”。 |
| ドゥンケルもありますか? | “Do you have the Dunkel on tap?”。 |
| このビールはどんな味ですか? | “Can you describe this beer?”。 |
| テイクアウト(クラウラー/グラウラー)できますか? | “Can I get this to go in a crowler / growler?”。 |
⚠️ 免責事項
本記事の営業時間・住所・ビールラインナップは2026年5月時点の情報です。最新情報は必ず公式サイトまたは公式 Instagramでご確認ください。受賞歴情報は公開された大会公式記録に基づきますが、ビアスタイルや評価コメントは筆者個人の主観を含みます。
❓ よくある質問(FAQ)

Q. Rosenstadt のタップルームはいつオープンしましたか?
A. 2025年8月29日にオープンしました。場所は元 Culmination Brewing の跡地(2117 NE Oregon Street, Portland)です。創業自体は2015年で、それまでは契約醸造(ジプシーブルワー)として活動していました。
Q. どんなスタイルのビールが看板ですか?
A. ドイツ伝統スタイル全般(ヘレス、ドゥンケル、ピルスナー、ケルシュ、アルトビア)。Reinheitsgebot(ドイツビール純粋令)に沿った醸造哲学が特徴です。ヘイジー IPA やフルーツサワーが主流の PDX シーンでは異色の存在です。
Q. 主な受賞歴は?
A. 代表的な受賞は World Beer Cup 2022 ブロンズ(German-Style Altbier)です。NY International Beer Competition 2021 ではゴールド(German-Style Brown Ale)を獲得。US Open Beer Championship 2020 でもブロンズ(German Kölsch)を受賞しています。
🔗 同じ旅で足を運んだ醸造所(オレゴン州)
- 【リホブルワリーNo.276】pFriem Family Brewers(Hood River, OR)|WBC 2026金賞×2のオレゴン名門。
- 【リホブルワリーNo.272】Block 15 Brewing – Southtown Tap Room(Corvallis, OR)。
- 【リホブルワリーNo.273】Fort George Brewery + Public House(Astoria, OR)|City of Dreams。
- 【リホブルワリーNo.274】Buoy Beer Co.(Astoria, OR)|コロンビア川河口で飲む、職人技のチェコピルスナー。
📚 参考情報・公式リンク
- 公式サイト: rosenstadtbrewery.com。
- 創業者情報: rosenstadtbrewery.com/founders。
- Instagram: @rosenstadt_brewery。
- タップルームオープン取材: New School Beer + Cider(2025年8月29日)。
- 初期取材: Willamette Week(2017年)。
- 正式オープン取材: Bridgetown Bites(2025年9月)。
- Portland Tribune 取材: Portland Tribune(2025年9月)。
- 業界誌取材: Brewbound 業界誌検索。
- Untappd: untappd.com/RosenstadtBrewery。
- Wikipedia: Rosenstadt Brewery。

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