米国クラフトビール業界最新レポート 2025年6月4日

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りほ

ITエンジニア兼ビアジャッジ

IT技術とビール愛を融合させた活動を展開中。日本のビアジャッジ資格保持者として2024年JGBAでの審査経験あり。現在はシアトル拠点で、日米のクラフトビール文化を比較しながら、情熱を注いでいます。趣味でビール関連アプリの開発も行っています(詳細はGitHubにて)。

ブルワリー向けにWebサイト刷新、SEO対策、AIを活用したペルソナ分析、プロンプトエンジニアリングなど、IT知識を活かしたサポートが可能です。「ブルワリーの魅力が正しく伝わる世界」を目指して、純粋な情熱でクラフトビールを応援しています。ビールとテクノロジーの融合についてご興味があれば、お気軽にご連絡ください🍻


米国クラフトビール業界最新レポート 2025年6月版

最終更新日: 2025年6月3日

2024年、米国クラフトビール業界は歴史的な転換点を迎えました。醸造所の閉鎖数が開業数を上回る中、売上高は288億ドル(前年比3%増)を記録。ノンアルコールビールが30%以上の成長を遂げ、日本は米国クラフトビールの最大輸出先として重要性を増しています。

地域別最新ニュース(過去1ヶ月)

西海岸(カリフォルニア、オレゴン、ワシントン)

Assembly Brewing Closes Historic Operation

ポートランド、オレゴン州
2025年5月11日

オレゴン州初の黒人経営醸造所が6年間の操業を終了。オーナーのGeorge Johnson氏は、コスト上昇と市場変動を閉鎖理由として挙げている。Assembly Pizza Annex衛星店舗は営業を継続。

出典: The New School, 2025

San Diego Dominates World Beer Cup

サンディエゴ、カリフォルニア州
2025年5月

サンディエゴ郡の7つの醸造所が2025 Brewers Cup of Californiaで金メダルを獲得。Pizza Portは3つのワールドビアカップメダルを獲得し、Seek Beer Co.はSan Diego Beer News Awardsでベスト醸造所に選出された。

出典: San Diego Beer News, 2025

中西部(イリノイ、ウィスコンシン、ミシガン等)

経済影響額

ウィスコンシン州:90億ドル、イリノイ州:30億ドル、インディアナ州:15億ドル、ミネソタ州・アイオワ州:各10億ドル

市場動向

ミルウォーキーで2024年後半に4つのクラフト醸造所が閉鎖。Good City BrewingがExplorium Brewpubオーナーに買収される。

東海岸(バーモント、マサチューセッツ、メイン等)

Tree House Expands Beyond New England

ボストン、マサチューセッツ州
2025年

ボストン・プルデンシャルセンター店には40フィートのバーと40のタップを設置。ニューヨーク州サラトガスプリングスに6番目の店舗を2025年に開店し、本拠地域外への初進出を果たす。

出典: 業界レポート, 2025

今後のクラフトビールイベント(2025年6月〜8月)

イベント名 日程 開催地 特徴
Washington Brewers Festival 6月20-21日 シアトル、WA 70以上の醸造所、ライブ音楽、フードトラック
Portland Craft Beer Festival 7月第1週末 ポートランド、OR ポートランド市内醸造ビールのみ出品
Fuji to Hood Festival 7月20日 ポートランド、OR 日本とオレゴンの醸造所コラボレーション
San Diego Brew Festival 8月 サンディエゴ、CA 70以上の醸造所参加
American Craft Beer Experience Tokyo 11月22-24日 東京・日比谷公園 米国醸造所代表者の貿易ミッション
データソース: 各イベント公式サイト, 2025年6月現在

注目ビール情報

ノンアルコールビール革命(市場成長率:30%以上)

  • Sierra Nevada
    Trail Pass IPA:伝統的なWest Coast IPAスタイルを捉えたノンアルコールビール。ホップの香りと苦味を維持しながらアルコール分を除去。
  • Firestone Walker
    8ZERO5:人気の805ラインで初のノンアルコール製品。軽やかで爽やかな味わいが特徴。
  • Athletic Brewing
    各種NAビール:米国食料品店でNo.1のノンアルコールビールブランドに成長。多様なスタイルを展開。

受賞ビール(2024年大会)

  • Apogee Brewing
    ベルギースタイルビール各種:カリフォルニア州の醸造所。Great American Beer Festivalで4メダル獲得。
  • Highland Park Brewery
    IPA各種:ロサンゼルスの醸造所。IPAカテゴリーを含む4メダル獲得。

日本への輸出入情報

市場規模予測

日本のクラフトビール市場:2024年8億ドル、2033年までに234億ドル予測(CAGR 12.6%)

輸出実績

米国から日本へのクラフトビール輸出:2024年に13%増加。米国クラフトビール総輸出額:4,700万ドル

主要プログラム

American Craft Beer Experience Tokyo 2024

22の米国醸造所
2024年11月1-3日

過去最高の来場者数を記録。22の米国醸造所から53ビールが出品され、7つの参加輸入業者とBrewers Associationの新市場トラックが設置された。高需要により多くの醸造所が完売。

出典: Brewers Association, 2024

Untappdの米国ブルワリーランキング(2025年6月現在)

順位 醸造所名 所在地 タイプ 平均評価 チェックイン数
1 Willow Park Brewing Bethlehem, PA Nano Brewery 4.62 3,397
2 Pips Meadery Gurnee, IL Meadery 4.62 81,470
3 Schramm’s Mead Ferndale, MI Meadery 4.52 151,627
4 nebuleus Portland, OR Nano Brewery 4.47 7,511
5 Brewlihan Oakland Park, FL Meadery 4.47 22,470
6 Lyric Brewing Company Denver, CO Nano Brewery 4.43 2,860
7 Floodland Brewing Seattle, WA Micro Brewery 4.43 61,050
8 Side Project Brewing Saint Louis, MO Micro Brewery 4.43 616,991
データソース: Untappd, 2025年6月3日現在

ランキングの特徴

ミード醸造所の台頭

トップ20のうち6つがミード(蜂蜜酒)専門醸造所。クラフトビール業界の多様化を示している。

小規模醸造所の高評価

Nano Breweryカテゴリーが10社を占め、品質重視の小規模生産が評価されている。

トレンド分析

業界の転換期

  • 成長から成熟へ:爆発的成長から戦略的成熟への移行
  • 消費者行動の変化:若い世代の全体的なビール消費量減少、健康志向によるNAビール成長
  • ビジネスモデルの進化:ホスピタリティ重視のタップルーム体験、フルバーとフードサービスの統合
  • 流通の課題:小売業者・流通業者のSKU簡素化、RTDカクテルとの競争激化

将来展望

米国クラフトビール業界は、統合と革新の時代に入っています。ノンアルコールビールの急成長、日本市場との強化された貿易関係、そして消費者の健康志向への適応により、業界は新たな成長機会を見出しています。2025年は、品質、持続可能性、そして顧客体験に焦点を当てた戦略的な成熟の年となるでしょう。

最終更新: 2025-06-03T13:48:00Z

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