米国クラフトビール業界最新レポート 2025年6月版
最終更新日: 2025年6月3日
2024年、米国クラフトビール業界は歴史的な転換点を迎えました。醸造所の閉鎖数が開業数を上回る中、売上高は288億ドル(前年比3%増)を記録。ノンアルコールビールが30%以上の成長を遂げ、日本は米国クラフトビールの最大輸出先として重要性を増しています。
地域別最新ニュース(過去1ヶ月)
西海岸(カリフォルニア、オレゴン、ワシントン)
Assembly Brewing Closes Historic Operation
オレゴン州初の黒人経営醸造所が6年間の操業を終了。オーナーのGeorge Johnson氏は、コスト上昇と市場変動を閉鎖理由として挙げている。Assembly Pizza Annex衛星店舗は営業を継続。
San Diego Dominates World Beer Cup
サンディエゴ郡の7つの醸造所が2025 Brewers Cup of Californiaで金メダルを獲得。Pizza Portは3つのワールドビアカップメダルを獲得し、Seek Beer Co.はSan Diego Beer News Awardsでベスト醸造所に選出された。
中西部(イリノイ、ウィスコンシン、ミシガン等)
経済影響額
ウィスコンシン州:90億ドル、イリノイ州:30億ドル、インディアナ州:15億ドル、ミネソタ州・アイオワ州:各10億ドル
市場動向
ミルウォーキーで2024年後半に4つのクラフト醸造所が閉鎖。Good City BrewingがExplorium Brewpubオーナーに買収される。
東海岸(バーモント、マサチューセッツ、メイン等)
Tree House Expands Beyond New England
ボストン・プルデンシャルセンター店には40フィートのバーと40のタップを設置。ニューヨーク州サラトガスプリングスに6番目の店舗を2025年に開店し、本拠地域外への初進出を果たす。
出典: 業界レポート, 2025
今後のクラフトビールイベント(2025年6月〜8月)
イベント名 | 日程 | 開催地 | 特徴 |
---|---|---|---|
Washington Brewers Festival | 6月20-21日 | シアトル、WA | 70以上の醸造所、ライブ音楽、フードトラック |
Portland Craft Beer Festival | 7月第1週末 | ポートランド、OR | ポートランド市内醸造ビールのみ出品 |
Fuji to Hood Festival | 7月20日 | ポートランド、OR | 日本とオレゴンの醸造所コラボレーション |
San Diego Brew Festival | 8月 | サンディエゴ、CA | 70以上の醸造所参加 |
American Craft Beer Experience Tokyo | 11月22-24日 | 東京・日比谷公園 | 米国醸造所代表者の貿易ミッション |
注目ビール情報
ノンアルコールビール革命(市場成長率:30%以上)
- Sierra Nevada
Trail Pass IPA:伝統的なWest Coast IPAスタイルを捉えたノンアルコールビール。ホップの香りと苦味を維持しながらアルコール分を除去。 - Firestone Walker
8ZERO5:人気の805ラインで初のノンアルコール製品。軽やかで爽やかな味わいが特徴。 - Athletic Brewing
各種NAビール:米国食料品店でNo.1のノンアルコールビールブランドに成長。多様なスタイルを展開。
受賞ビール(2024年大会)
- Apogee Brewing
ベルギースタイルビール各種:カリフォルニア州の醸造所。Great American Beer Festivalで4メダル獲得。 - Highland Park Brewery
IPA各種:ロサンゼルスの醸造所。IPAカテゴリーを含む4メダル獲得。
日本への輸出入情報
市場規模予測
日本のクラフトビール市場:2024年8億ドル、2033年までに234億ドル予測(CAGR 12.6%)
輸出実績
米国から日本へのクラフトビール輸出:2024年に13%増加。米国クラフトビール総輸出額:4,700万ドル
主要プログラム
American Craft Beer Experience Tokyo 2024
過去最高の来場者数を記録。22の米国醸造所から53ビールが出品され、7つの参加輸入業者とBrewers Associationの新市場トラックが設置された。高需要により多くの醸造所が完売。
出典: Brewers Association, 2024
Untappdの米国ブルワリーランキング(2025年6月現在)
順位 | 醸造所名 | 所在地 | タイプ | 平均評価 | チェックイン数 |
---|---|---|---|---|---|
1 | Willow Park Brewing | Bethlehem, PA | Nano Brewery | 4.62 | 3,397 |
2 | Pips Meadery | Gurnee, IL | Meadery | 4.62 | 81,470 |
3 | Schramm’s Mead | Ferndale, MI | Meadery | 4.52 | 151,627 |
4 | nebuleus | Portland, OR | Nano Brewery | 4.47 | 7,511 |
5 | Brewlihan | Oakland Park, FL | Meadery | 4.47 | 22,470 |
6 | Lyric Brewing Company | Denver, CO | Nano Brewery | 4.43 | 2,860 |
7 | Floodland Brewing | Seattle, WA | Micro Brewery | 4.43 | 61,050 |
8 | Side Project Brewing | Saint Louis, MO | Micro Brewery | 4.43 | 616,991 |
ランキングの特徴
ミード醸造所の台頭
トップ20のうち6つがミード(蜂蜜酒)専門醸造所。クラフトビール業界の多様化を示している。
小規模醸造所の高評価
Nano Breweryカテゴリーが10社を占め、品質重視の小規模生産が評価されている。
トレンド分析
業界の転換期
- 成長から成熟へ:爆発的成長から戦略的成熟への移行
- 消費者行動の変化:若い世代の全体的なビール消費量減少、健康志向によるNAビール成長
- ビジネスモデルの進化:ホスピタリティ重視のタップルーム体験、フルバーとフードサービスの統合
- 流通の課題:小売業者・流通業者のSKU簡素化、RTDカクテルとの競争激化
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将来展望
米国クラフトビール業界は、統合と革新の時代に入っています。ノンアルコールビールの急成長、日本市場との強化された貿易関係、そして消費者の健康志向への適応により、業界は新たな成長機会を見出しています。2025年は、品質、持続可能性、そして顧客体験に焦点を当てた戦略的な成熟の年となるでしょう。
最終更新: 2025-06-03T13:48:00Z
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