この記事は2024年10月のオーストラリア現地体験と醸造技術調査に基づき、2025年6月に公開しています。DDH・TDH技術とMountain Culture Brewery訪問レポートの最新情報をお届けします。
この記事でわかること
- DDH・TDH・ドライホップ技術の基本から応用まで
- Mountain Culture / Pyramid Scheme DDH IPA (7.5%) の詳細レビュー
- ホップ品種とドライホッピングの関係性
- 初心者でも理解できる醸造プロセス解説
- おすすめDDH/TDHビールと購入方法
🌱 DDH・TDH・ドライホップって何?基本解説

DDHとかTDHとか、難しそうな略語がいっぱいで困るワン!初心者にもわかるように教えて欲しいワン。

それじゃあ詳しく説明するホプ!DDH(ダブル・ドライホップ)は「Double Dry Hopped」の略で、通常のドライホッピングを2回行う醸造技法ホプ!TDH(トリプル・ドライホップ)は3回行うバージョンで、ホップの香りを最大限に引き出す技法ホプ!

つまり、ホップをたくさん使って、より香り高いビールを作る技術ってことだね。でも「ドライホップ」って何だろう?
🍺 ドライホップとは?基本的な仕組み
ドライホップ(Dry Hopping)は、発酵完了後の低温状態でホップを追加する醸造技法です。通常の醸造では煮沸時にホップを投入しますが、ドライホッピングでは熱を加えずにホップを浸漬させるため、苦味成分を抽出せずに香り成分だけを取り出すことができます。
🔬 ドライホッピングの科学
温度の違いによる成分抽出:
- 煮沸時(100°C): α酸 → イソα酸(苦味成分)に変化
- ドライホップ(8-20°C): エッセンシャルオイル(香り成分)のみ抽出、最適温度は9-14°C
- 抽出される香り成分: ミルセン、リナロール、ゲラニオール、シトロネロールなど

ホップの香り成分は揮発性が高いから、煮沸すると飛んでしまうホプ!でも低温なら香り成分だけを効率的に抽出できるホプ!特にシトラス、トロピカル、フローラル系の香りが際立つホプ!
🔄 DDH・TDHの工程詳細
DDH(2回)の場合
- 1回目のドライホップ: 発酵終了直後(比重1.010-1.015)または発酵中期で実施。酵母の生体変換作用を利用
- 期間: 24-72時間(研究により24時間で香り成分抽出はほぼ完了することが判明)
- 2回目のドライホップ: 発酵完全終了後(14.5°C以下)で実施。ホップクリープ現象を防止
- 期間: 24-48時間(長期間は香り成分の揮発リスク)
- 総ホップ使用量: 通常の3-5倍(1バレルあたり2-4ポンド)
TDH(3回)の場合
TDHでは上記に加えて、パッケージング直前に3回目のドライホップを実施。より複層的で持続的な香りを実現します。この技法は特にNew England IPA(NEIPA)スタイルで多用されており、飲む瞬間まで新鮮なホップアロマを維持できます。
🍺 Mountain Culture / Pyramid Scheme DDH IPA (7.5%) 詳細レビュー
オーストラリア・ブルーマウンテンズを拠点とするMountain Culture Breweryが手がける「Pyramid Scheme DDH IPA」は、DDH技法の真価を体感できる傑作です。Mosaic、Galaxy、Citraの3種類のホップを贅沢に使用し、2回のドライホッピングで仕上げています。同ブルワリーは2019年の創業から僅か16ヶ月でオーストラリア第1位のブルワリーに成長した革新的醸造所として知られています。
🏭 Mountain Culture Brewery 基本情報
- 所在地: Katoomba, Blue Mountains, NSW, Australia(本社)/ Emu Plains, NSW(生産拠点)
- 創業: 2019年
- 創設者・ヘッドブルワー: DJ McCready(元Modus Operandi、Oskar Blues出身)
- 年間生産量: 約8,000hl(100万リットル設備、最大300万リットル拡張予定)
- 特徴: NEIPAとDDH/TDH技法の専門ブルワリー
👃 アロマプロファイル
👃 アロマプロファイル

わあ!グラスに注いだ瞬間から、フルーツサラダみたいないい香りがするワン♪ これがDDHの力なのね!
🎨 外観・味わい詳細
外観: 黄金色から薄いオレンジ色のヘイジー(濁り)。きめ細かい白い泡が持続し、グラスに美しいレーシング(泡の跡)を残します。この濁りはDDH技法特有の現象で、ホップの蛋白質と酵母が結合して生まれる自然な濁りです。
味わい: 最初にGalaxyホップ由来のトロピカルフルーツが爆発的に広がり、続いてMosaicの複雑な果実味、最後にCitraの爽やかな柑橘系の余韻が続きます。苦味は穏やかで(推定IBU 45-50)、7.5%のアルコール度数を感じさせないスムーズな飲み口です。
味わいプロファイル

このビールで使われているホップ3種類の特徴を説明するホプ!Galaxyは独特のパッションフルーツ系アロマ、Mosaicは複雑なベリー・石果系、Citraは柑橘系とトロピカル系のバランスが絶妙ホプ!DDH技法でこれらの香り成分が最大限に引き出されているホプ!
🌿 DDH/TDHに使われる主要ホップ品種
ホップ品種 | 香りの特徴 | 適性 |
---|---|---|
Mosaic | ブルーベリー、ベリー類、トロピカル、バブルガム | ★★★★★ |
Galaxy | パッションフルーツ、桃、柑橘、強力なトロピカル | ★★★★★ |
Citra | グレープフルーツ、ライム、メロン、ライチ | ★★★★★ |
Idaho7 | 松、柑橘、トロピカル、ハーブ | ★★★★☆ |
Sabro | ココナッツ、トロピカル、シトラス | ★★★★☆ |
Nelson Sauvin | 白ワイン、グーズベリー、パッションフルーツ | ★★★★☆ |

なるほど、これらのホップはどれもDDH/TDH技法に向いているんだね。特にMosaic、Galaxy、Citraの組み合わせは「ホーリートリニティ」と呼ばれるほど人気だよね。

DDH/TDHビールがこんなに奥が深いなんて知らなかったワン!でも、どうやって実際に手に入れたり、もっと勉強したりすればいいの?

DDH/TDHビールは楽天やAmazonでも入手できるホプ!それに、IPAを最大限楽しむなら専用グラスがあると香りが全然違うホプ!醸造技術を学ぶための書籍もたくさんあるホプ!

せっかくだから、おすすめの商品をいくつか紹介しようか。まずはDDH/TDHビールから始めて、専用グラスや関連書籍まで幅広く紹介するよ!
🛒 DDH/TDHビールを手に入れよう!
🍺 DDH IPA・TDH IPA 関連ビール
日本国内でも入手可能なDDH/TDH技法で醸造されたIPAをお探しいただけます。Y.Y.G. Brewing、Devilcraft、TDM 1874 Breweryなどの日本ブルワリーのDDH IPAがおすすめです。
🥃 IPA専用グラス
IPA/ホップアロマ専用グラス
IPAの香りを最大限に引き出すように設計された専用グラス。香り成分を集約する形状で、ホップアロマが格段に向上します。
🌟 おすすめポイント: 香りの立ち方が劇的に変わり、同じビールでも全く違う体験ができます
📚 ホップ・醸造技術書
ビール醸造技術・ホップ専門書
DDH/TDH技法やホップの特性について詳しく学べる専門書籍。醸造家も参考にしている定番の技術書です。
📖 内容: ドライホッピング技法、ホップ品種解説、醸造プロセス、香り成分の科学
🍷 ビールテイスティング用品
テイスティンググラスセット・ノート
プロレベルでのビールテイスティングを楽しめるグラスセットやテイスティングノート。DDH/TDHビールの複雑な香りを正確に評価できます。
🔍 特徴: アロマ分析、味覚評価、記録保存に最適な専門用品
🤔 よくある誤解と正しい理解
❌ 誤解: DDH/TDHビールは苦いビール
正解: DDH/TDHビールは苦味よりも香りを重視したビールです。ドライホッピングは苦味成分(α酸)をほとんど抽出しないため、むしろフルーティーで飲みやすいビールになります。
❌ 誤解: ホップをたくさん使えばDDH/TDHになる
正解: 単にホップ量を増やすだけでなく、タイミング、温度、期間が重要です。適切な条件下でのドライホッピングにより、理想的な香りプロファイルを実現できます。

あ、そうだったのね!IPAだから苦いと思い込んでたけど、DDHビールは香りがメインで飲みやすいのね♪ こりゃビール初心者にもオススメできそうワン!
👥 こんな人におすすめ・向かない人
✅ こんな人にぴったり
- フルーティーなビールが好きな人: ワインやカクテル好きにも◎
- 香りを重視する人: アロマが豊かで食前酒にも最適
- 苦味が苦手な人: IPA入門に最適なスタイル
- 新しいビール体験を求める人: 従来の概念を覆す現代的なビール
⚠️ 向かない人
- クリアで軽快なビールが好みの人: ヘイジーな外観に抵抗がある方
- 伝統的なビアスタイルを好む人: 革新的すぎると感じる可能性
- 強い苦味を求める人: 従来のIPAの苦味を期待すると物足りない
🍺 初心者へのアドバイス
🥇 最初の一本の選び方
DDH/TDHビール初心者には、以下の条件のビールから始めることをおすすめします:
- アルコール度数6-7%: 高すぎず低すぎず、香りと飲みやすさのバランス良
- Citra、Mosaic使用: 親しみやすい柑橘系フレーバー
- DDHから始める: TDHは香りが強すぎる場合があります
- 信頼できるブルワリー: 品質が安定している知名度の高いブルワリー製
🍻 飲み方のコツ
🌡️ 最適な提供温度
- 8-12°C: 香り成分が最も活発に感じられる温度
- 冷やしすぎ注意: 5°C以下では香りが閉じてしまいます
- 科学的根拠: テルペンアルコール(リナロール)は0°Cと20°Cでほぼ同等の抽出効率、ミルセンは20°Cで2週間観察期間中に4°Cの2倍の溶解度に達する
- グラス選び: IPA専用グラスまたはワイングラスがベスト
⚠️ 重要: DDH/TDHビールは香りが命!適温で香りを楽しみましょう。

DDH/TDHビールは香り成分が揮発しやすいから、開栓後はできるだけ早く飲むのがポイントホプ!時間が経つと香りが飛んでしまって、本来の魅力が半減しちゃうホプ!
📍 ビアスタイル別DDH/TDH使用例
👑 よく見るスタイル
- New England IPA (NEIPA): DDH/TDHの代表格。ヘイジーで香り豊か
- West Coast IPA: 従来の苦味に加えて現代的な香りをプラス
- Session IPA: 低アルコールでも豊かな香りを実現
- Pale Ale: 飲みやすさと香りのバランスが絶妙
🔥 意外なスタイル
- DDH Lager: ラガーの清涼感 + ホップの香り
- DDH Sour: 酸味と香りの革新的な組み合わせ
- DDH Pilsner: チェコスタイルにアメリカンホップをプラス
- DDH Wheat Beer: 小麦の滑らかさと現代的なホップアロマ
🌍 著名なDDH/TDHブルワリー
🇺🇸 アメリカ(本場)
- Treehouse Brewing (Massachusetts): NEIPA/DDH技法の最高峰
- Other Half Brewing (New York): 実験的なホップ使いで有名
- Monkish Brewing (California): West CoastスタイルのDDH IPA
- Hill Farmstead (Vermont): 農場ブルワリーの名作DDH
🇯🇵 日本の注目ブルワリー
- Y.Y.G. Brewing & Blending (神奈川): 日本のNEIPA/DDH先駆者
- Devilcraft (東京): アメリカンスタイルのDDH IPA
- TDM 1874 Brewery (静岡): 丁寧な仕込みのDDHシリーズ
- Thrash Zone Brewing (群馬): 革新的なホップ使いで注目
🏆 総合評価: Pyramid Scheme DDH IPA
📚 用語集
用語 | 意味 |
---|---|
DDH | Double Dry Hopped – ドライホッピングを2回行う技法 |
TDH | Triple Dry Hopped – ドライホッピングを3回行う技法 |
ドライホップ | 発酵後にホップを追加する技法 |
ヘイジー | 霞がかったような濁りのある外観 |
NEIPA | New England IPA – 濁りと香りが特徴のIPAスタイル |
IBU | International Bitterness Units – 苦味の国際基準単位 |
α酸 | ホップの苦味成分 |
エッセンシャルオイル | ホップの香り成分 |

これでDDH/TDHについて一通り理解できたね!Mountain Culture のPyramid Scheme DDH IPAは本当に素晴らしい作品だった。次は実際に飲んでみよう!

わあい!DDH/TDHビールが怖くなくなったワン♪ むしろ飲んでみたくなったワン!今度買ってみるワン!

せっかくなら、最後におすすめのDDH/TDHビールと関連グッズをまとめて紹介するホプ!自宅でも本格的なDDH/TDHビール体験ができるホプ!

初心者の方でも安心して始められるように、エントリーレベルからプレミアムまで幅広い価格帯で選んだよ。まずは気になるものから試してみてね!
🎯 DDH/TDHビール完全セットアップ
🍺 おすすめDDH/TDHビール セレクション
国内外のDDH/TDH IPA厳選セット
Mountain Culture、Y.Y.G. Brewing、Devilcraft、海外ブルワリーのDDH/TDH IPAを飲み比べできる贅沢なセレクション。初心者から上級者まで楽しめます。
🌟 特徴: Mosaic、Galaxy、Citra使用の本格DDH/TDH技法、トロピカル・柑橘系アロマの饗宴
🥃 プロ仕様 IPA専用グラスコレクション
Spiegelau・Zalto IPA専用グラス
ホップアロマを最大限に引き出すために科学的に設計されたIPA専用グラス。香り立ちが劇的に向上し、同じビールとは思えない体験ができます。
💎 効果: 香り成分の集約、温度維持、口当たりの向上で、DDH/TDHビールの真価を体感
📖 DDH/TDH醸造技術 完全マスターブック
「ホップの教科書」「醸造学入門」
DDH/TDH技法の科学的解説、ホップ品種の特性、香り成分の抽出メカニズムまで詳しく学べる決定版。プロの醸造家も参考にする本格的な技術書です。
📚 内容: ドライホッピング理論、エッセンシャルオイル抽出、ホップクリープ現象、温度管理技術
🔬 プロ仕様テイスティングキット
ビールアロマキット・テイスティングノート
DDH/TDHビールの複雑な香り成分を正確に識別するためのアロマキットとテイスティング記録ノート。ソムリエレベルでの評価技術が身につきます。
🎯 効果: シトラス、トロピカル、フローラル、樹脂系アロマの識別技術向上
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日本のクラフトビール探訪記
2024年まで日本在住だった筆者が、全国各地のクラフトビールシーンを巡る旅の記録を公開しています。北は北海道から南は九州まで、日本全国の個性豊かなブルワリーを訪問。蔵元直営のタップルームから地域に根差したビアパブまで、日本のクラフトビール文化を体験するレポートを発信中。季節限定醸造や地元食材を活かしたユニークなビール、杜氏との対話など、日本のクラフトビールの魅力を深掘りしたコンテンツはこちらのタグページからご覧いただけます。
https://rihobeer.com/tag/japan-ja/
アメリカのクラフトビール探訪記
現在シアトル在住の筆者が、本場アメリカとカナダのクラフトビールシーンを巡る旅の記録を公開しています。ロサンゼルスの人気醸造所からポートランドの隠れた名店、バンクーバーのユニークなタップルームまで、北米各地のブルワリー訪問レポートを発信中。地元でしか味わえない限定ビールや醸造家との対話など、北米のビール文化を深掘りしたコンテンツはこちらのカテゴリーページからご覧いただけます。
https://rihobeer.com/category/beer/brewpub/usa
📚 参考情報
本記事の事実確認に使用した信頼できる情報源:
- Mountain Culture Beer Co 公式サイト – https://mountainculture.com.au/ (確認日: 2025年6月13日)
- Mountain Culture Beer Co 企業ストーリー – https://mountainculture.com.au/pages/our-story (確認日: 2025年6月13日)
- Barth-Haas Group ホップ研究資料 – https://www.barthhaas.com/ressources/blog/blog-article/what-is-double-dry-hopping-ddh (確認日: 2025年6月13日)
- Scott Janish ドライホッピング研究 – https://scottjanish.com/a-case-for-short-and-cool-dry-hopping/ (確認日: 2025年6月13日)
- Oregon State University ホップ研究 – Peter Wolfe 修士論文(2012年)、Dr. Shellhammer研究資料
- Precision Fermentation ドライホッピング技術 – https://www.precisionfermentation.com/blog/dry-hopping-during-active-fermentation/ (確認日: 2025年6月13日)
- Yakima Valley Hops ホップ品種情報 – https://yakimavalleyhops.com/ (確認日: 2025年6月13日)
- Beer Maverick ホップデータベース – https://beermaverick.com/hop/mosaic/ (確認日: 2025年6月13日)
※情報は予告なく変更される場合があります。最新情報は各公式サイトでご確認ください。
⚠️ 免責事項
本記事に含まれる味覚評価やビールレビューは個人的な感想です。ビールの味覚は人それぞれ異なります。また、ブルワリー情報や商品情報は記事作成時点のものであり、変更される場合があります。最新情報は各ブルワリーの公式サイトでご確認ください。
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