【5/19更新】日本クラフトビールニュース

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りほ

ITエンジニア兼ビアジャッジ

IT技術とビール愛を融合させた活動を展開中。日本のビアジャッジ資格保持者として2024年JGBAでの審査経験あり。現在はシアトル拠点で、日米のクラフトビール文化を比較しながら、情熱を注いでいます。趣味でビール関連アプリの開発も行っています(詳細はGitHubにて)。

ブルワリー向けにWebサイト刷新、SEO対策、AIを活用したペルソナ分析、プロンプトエンジニアリングなど、IT知識を活かしたサポートが可能です。「ブルワリーの魅力が正しく伝わる世界」を目指して、純粋な情熱でクラフトビールを応援しています。ビールとテクノロジーの融合についてご興味があれば、お気軽にご連絡ください🍻


最終更新日: 2025年5月19日

このページでは、日本のクラフトビール業界の最新動向、トレンド、市場分析、イベント情報をまとめています。2025年の最新データに基づき、業界関係者からビール愛好家まで、幅広い読者に有益な情報を提供します。

市場概況と業界データ

市場規模と成長率

2024年時点で約1.24兆円(80億米ドル)だった日本のクラフトビール市場は、2033年までに23.4億米ドル(約2.9兆円)に達すると予測されています。年間成長率(CAGR)は12.61%を記録しています。

醸造所数の増加

全国の醸造所数は677から800以上に増加し、過去10年間で3倍に拡大しました。東京、大阪、名古屋などの大都市圏から地方都市や観光地へと拡大傾向にあります。

シェア比較

日本のビール市場全体におけるクラフトビールのシェアは現在1-2%で、米国の13.3%と比較して低い水準にありますが、全体のビール市場が年間4.3%成長に対し、クラフトビール市場は7%以上の成長率を示しています。

日本クラフトビール協会が出荷量データを発表

日本全国
2025年4月18日

日本クラフトビール協会が国内クラフトビール出荷量のデータを発表しました。2024年の出荷量は43,745キロリットルとなり、パンデミック前と比較して24%の増加を記録。市場シェアは日本のビール市場全体の0.95%に成長しています。若年層を中心に品質、本物性、職人技を重視する消費傾向が見られ、特に20-30代の女性消費者層が拡大しています。

出典: 日本クラフトビール協会, 2025年4月

最新ニュース(過去1ヶ月)

ワールド・ビア・アワード2025で日本のブルワリーが8つの賞を獲得

国際
2025年4月30日

ワールド・ビア・アワード2025の結果が発表され、日本のブルワリーが8つの賞を獲得しました。うち3つは金賞で、DevilCraftの「Black Igneous Oatmeal Stout」、Bighand Bros. Beerの「Andalusite Best Bitter」、横浜ベイブルーイングの「Yuzu Weiss」が最高位を獲得。これらの受賞は、日本のクラフトビールの品質と革新性が国際的に認められたことを示しています。

出典: Japan Beer Times, 2025年4月30日

キリンビールが新しいクラフトビール戦略を発表

企業
2025年5月7日

キリンビールが新しいクラフトビール戦略を発表しました。全体的に減少傾向にあるビール市場に対抗するため、地域ブルワリーとのパートナーシップに焦点を当て、全国的なクラフト市場でのプレゼンスを拡大する計画です。特に地域特産の原材料を活かしたコラボレーションビールの開発や、流通ネットワークの共有などが含まれています。

出典: 日経ビジネス, 2025年5月7日

Craft Beer Baseが2億1000万円の投資ラウンドを発表

投資
2025年5月12日

Craft Beer Baseが小規模独立ブルワリーのためのデジタルプラットフォームを通じた流通ネットワーク近代化に向け、2億1000万円の投資ラウンドを発表しました。このプラットフォームを通じて、中小規模のブルワリーが消費者にダイレクトに製品を届けられるようになり、市場アクセスが大幅に改善される見込みです。

出典: BEER LIFE, 2025年5月12日

NOMCRAFT Brewingが国際的認知を獲得

受賞
2025年5月16日

和歌山県有田市のNOMCRAFT Brewingが柑橘を注入したクラフトビールでヨーロピアン・ビア・スター・コンペティションで国際的認知を獲得しました。地元産の柑橘類を活用した個性的なビールが、特に国際審査員から高い評価を受けました。同ブルワリーは、日本の伝統的な食材とクラフトビールの融合における革新的なアプローチで注目を集めています。

出典: BREWSMA, 2025年5月16日

今後のイベント情報(今後3ヶ月)

注目のビアフェスティバル

大江戸ビール祭り2025春

東京都中野区・中野四季の森公園
2025年5月21-25日および5月28日-6月1日

入場無料の都市型クラフトビールフェスティバル。全国各地とヨーロッパからの40以上のブルワリーが参加し、限定シーズナル春ビールを特集します。営業時間は平日16:00-21:30、土曜12:00-21:30、日曜12:00-20:00。Twin Peaks Mountain Brewing、YellowBeerWorks、ERDINGERなどの人気ブルワリーも参加予定です。

初心者向けテイスティングフライトオプションがあり、週替わりのブルワリーラインナップも魅力です。

公式サイト: 大江戸ビール祭り2025春

けやきひろば春のビール祭り2025

さいたま市・さいたま新都心けやきひろば
2025年5月28日-6月1日

日本最大のクラフトビールフェスティバルのひとつで、特別コラボレーションブリューも提供されます。Anglo Japanese Brewing Company、BLACK TIDE BREWING、B.M.B Breweryなど49のブルワリーが300種類以上のクラフトビールを提供。入場は無料で、予約テーブルも利用可能です。営業時間は初日(水)16:00-21:00、木-土11:00-21:00、日曜11:00-20:00。

特別トリプルコラボレーションブリュー「さいたまスーパーレッドラガー」や、20代のクラフトビール初心者向け「ファーストパイントプレゼント」プロモーションも実施されます。前回は5,300人以上が来場した人気イベントです。

公式サイト: けやきひろば ビール祭り

日本クラフトビアフェスティバル2025 in 墨田

東京都墨田区・墨田産業会館(錦糸町)
2025年6月7-8日

33回目を迎えるこの長年のイベントでは、すべてのビールが樽から新鮮に提供されます。岩手蔵ビール、コエド、スモーククラフト、ベアードビールなど20以上のブルワリーが参加予定。このフェスティバルは、日本で最も歴史あるクラフトビールイベントの一つであり、すべてのビールが樽生のみで提供される本格派のイベントです。

公式サイト: 日本クラフトビアフェスティバル

ベルギービールウィークエンド2025(複数都市)

全国各都市
2025年5月-6月(各都市で開催)

80種類以上のベルギービールを提供する日本最大のベルギービールイベント。大阪会場は5月21-25日に開催され、毎日11:00-21:00まで営業します。52のベルギーブルワリーが参加し、75種類以上のベルギービールが楽しめます。入場は無料ですが、スターターセット3,990円(13枚のビール/フードトークンと記念グラス含む)の購入が推奨されています。

本格的なベルギー料理も提供され、詳細なビール情報と味覚チャートを提供するベルギービールアプリ「BBWalker」も利用できます。開始以来150万人以上の来場者を集めた人気イベントのひとつです。

公式サイト: ベルギービールウィークエンド

Beers of Japan Festival 2025 福岡

福岡市博多区・ららぽーと福岡
2025年5月19日-6月7日

九州地方最大級のクラフトビールイベント。ブリューマスター(福岡)、九重高原地ビール(大分)、松江ビアへるん(島根)、ムーンライズブルワリー(鹿児島)など、九州・中国地方を中心に7ブルワリーが参加します。焼き鳥、餃子、地域の特産品など8つの飲食店からの食事も提供。イベント後はThe Brewmaster Storehouseで商品購入も可能です。

公式サイト: Beers of Japan Festival

新規オープン・閉鎖醸造所情報

ステータス 醸造所名 所在地 日付 特記事項・注目理由
新規オープン ヱビスビール東京醸造所 東京都渋谷区(恵比寿ガーデンプレイス) 2025年4月3日 以前のヱビスビール博物館を改装した醸造所、博物館、タップルーム、ギフトショップ。元のヱビス工場(35年前)から再現した酵母を使用した「ヱビスインフィニティ」ビールを特徴とする。年間25万人の訪問者を見込み、1100万ドルの投資。
新規オープン ヤマトクラフトビアテーブル奈良三条通り 奈良県奈良市 2025年2月 ヤマトブルワリーの最新支店。ペールエール、IPA、スタウト、セゾンなど10種類以上のオリジナルクラフトビールを含むドラフトビールを提供。自動ビールサーブ機を導入。
データソース: Japan-guide, 近鉄グループホールディングス, 2025年5月現在

注目:クラフトビール醸造所閉鎖の国際的傾向

国際
2025年5月

調査期間中、日本のクラフトビール醸造所の具体的な閉鎖例は確認されませんでした。これは2024年に399の醸造所閉鎖を経験し、2025年もこの傾向が続くと予想されている米国市場とは対照的です。日本市場の相対的な安定性は注目に値しますが、グローバルな傾向は遅れて日本市場に影響を与えることがあるため、業界関係者は引き続き警戒を続けるべきでしょう。

出典: The Drinks Business, 2025年2月

注目の国産クラフトビール

  • 木内酒造
    常陸野ネストホワイトエール:コリアンダー、オレンジピール、ナツメグで醸造されたベルギースタイルのウィットビール。国際的に評価の高いフクロウのロゴが特徴で、柑橘とスパイスのノートを持つ濁った黄色の外観が特徴。ABV 5.5%。国際的に広く入手可能なフラッグシップ製品です。
  • 木内酒造
    常陸野ネスト・レッドライスエール:古代赤米品種からのユニークなロゼ色が特徴のベルギーインスパイアのエール。繊細なフルーティーな風味プロファイルを持ち、受賞歴もあります。ABV 7.0%。国際的に入手可能ですが、ホワイトエールよりも限定的です。
  • UCHU BREWING
    UCHUリラックス:ワールドビアカップ2025でジューシーまたはヘイジーペールエール部門で金メダルを獲得。柑橘系のアロマと滑らかな口当たりが特徴で、トロピカルフルーツのノートが際立つジューシーなペールエール。ABV 5.8%。
  • DevilCraft
    Black Igneous Oatmeal Stout:ワールドビアアワード2025で金メダルを獲得。濃厚なチョコレートと焙煎コーヒーの風味に、オートミールのまろやかさが加わったスタウト。ABV 6.5%。
  • ヤッホーブルーイング
    よなよなエール:日本を代表するクラフトビールの一つで、アメリカンペールエール。レモン、グレープフルーツ、ユズを含む柑橘ノートを持つ銅色の外観。一般的なアメリカンペールエールよりソフトでスムースな飲み口が特徴。ABV 5.5%。コンビニを含め日本で広く入手可能。

業界トレンド分析

ライスラガーの台頭

2025年で最も強い成長を示しているスタイルの一つが「ライスラガー」です。日本の醸造所が地元の米品種を使用して特徴的な軽いボディのビールを作成しており、Untappdの「Japanese Rice Lager」スタイルのチェックインは2021年から2024年で63%増加。この傾向は2025年も継続しています。

国産原料の活用

日本のクラフトブルワーは、独特の風味プロファイルを作り出すために、ますます地元の原料に注目しています。赤米などの伝統的な在来種の米、ユズやミカンなどの地元の柑橘類、抹茶、ほうじ茶などが独特の風味プロファイルに使用されています。北海道やその他の地域の小規模なホップ栽培事業も増加傾向にあります。

健康志向の選択肢

低アルコール度数オプションや健康促進成分で醸造されたビールへの関心が高まっています。Z世代の61%が2024年にアルコール摂取量を減らす計画と報告しており、低カロリー、低炭水化物、ノンアルコールクラフトビールへの需要が増加しています。

体験重視の消費

教育とユニークな体験が提供されるタップルームや醸造所併設パブでの飲酒を好む消費者が増加しています。コア消費者層も従来の21-35歳の年齢層を超えて、より多くの女性や高齢の消費者を含むように拡大しており、クラフトビール観光が醸造所訪問と輸出を促進しています。

Untappdの日本リージョン人気ブルワリーランキング

順位 ブルワリー名 タイプ 所在地 平均評価 レーティング数
1 Inkhorn Brewing ナノブルワリー 東京都・豊島区 4.02 15,632
1 UCHU BREWING マイクロブルワリー 山梨県・北杜市 4.02 65,288
3 Totopia Brewery マイクロブルワリー 愛知県・長久手市 3.98 12,704
4 West Coast Brewing マイクロブルワリー 静岡県・静岡市 3.97 89,356
5 GRANDLINE BREWING マイクロブルワリー 神奈川県・横須賀市 3.92 1,040
5 Teenage Brewing マイクロブルワリー 埼玉県・比企郡 3.92 8,036
5 Amakusa Sonar Beer マイクロブルワリー 熊本県・天草市 3.92 5,868
8 Break Edge Beer Works ナノブルワリー 広島県・広島市 3.90 1,790
9 TKBrewing マイクロブルワリー 神奈川県・川崎市 3.86 5,038
10 Thrash Zone ナノブルワリー 神奈川県・横浜市 3.85 3,468
データソース: Untappdアプリのスクリーンショット(2025年5月19日提供)

ランキングから見る日本のクラフトビール動向

分析
2025年5月

Untappdランキングから読み取れる傾向として、UCHU BREWINGとWest Coast Brewingが最も多くの評価数を獲得しており、人気の高さを示しています。上位20位のうち6つが東京都に位置し、首都圏のクラフトビール文化の強さを反映しています。また、ナノブルワリーやマイクロブルワリーが上位を占めており、日本の小規模生産者への高い評価が見られます。地域的な多様性も顕著で、北は宮城県から南は熊本県まで、全国各地のブルワリーがランクイン。評価ポイントの差が小さいことから、日本全体のクラフトビールの品質水準の高さがうかがえます。

出典: Untappd, 2025年5月

経済発展に関する醸造所情報

アサヒグループホールディングスによるOctopi Brewingの買収

M&A
2025年1月

アサヒヨーロッパ&インターナショナル(AEI)、アサヒグループホールディングスの国際部門が、ウィスコンシン州ウォーナキーに拠点を置く契約飲料製造およびコパッキング施設Octopi Brewingを買収しました。これはサッポロの2022年のStone Brewing買収やキリンの2019年のNew Belgium買収など、日本の醸造所が北米で拡大するパターンを踏襲しています。北米全域での生産能力拡大を通じて、アサヒのグローバルブランドの成長を加速することが狙いです。

出典: Brewbound, 2025年1月

キリンホールディングスによるBira 91への投資

投資
2025年初頭

キリンホールディングスが、インドのクラフトビールメーカーBira 91に2500万米ドルを投資しました。この投資により、キリンのインドのクラフトビールメーカーへの出資比率が以前の20%を超えました。別のアメリカの投資家も追加で2500万米ドルを投資したと報告されています。この動きは、国内消費が低迷する日本以外の成長市場でのポジションを強化するキリンの戦略の一環と見られています。

出典: The Drinks Business, 2025年1月

日本農林水産省がクラフトブルワリー向け国内ホップ農家支援プログラムを発表

国産原料
2025年4月22日

日本農林水産省がクラフトブルワリー向け国内ホップ農家支援プログラムを発表しました。このプログラムは、日本のクラフトビール産業における輸入ホップへの依存度を低減することを目指しています。北海道を中心に、新たなホップ栽培エリアの開発や、日本の気候に適した独自品種の研究開発への支援が含まれています。この取り組みにより、日本のクラフトビールにユニークな「地産地消」の風味が生まれることが期待されています。

出典: CRAFT BEER JAPAN, 2025年4月22日

クラフトビール業界の将来展望

市場成長予測

2024年に80億米ドル(約1.24兆円)だった日本のクラフトビール市場は、2033年までに234億米ドル(約2.9兆円)に達する見込みです(CAGR 12.61%)。特にプレミアムクラフトセグメントは全体市場よりも速い年間15-18%の成長が予測されており、2028年までにクラフトビール専用の小売棚スペースが25-30%増加すると予測されています。

税制改革の影響

2026年までに予定されているビール、発泡酒、「第三のビール」の税率平準化はクラフトブルワーに恩恵をもたらすと予想されています。これにより、価格競争力が高まり、消費者がより品質に基づいて選択するようになることが期待されています。また、直接販売の規制緩和も進み、醸造所から消費者への直接配送の制限が緩和される可能性もあります。

海外展開の可能性

東南アジア市場(シンガポール、タイ、ベトナム)が日本のクラフト輸出に最も強い成長ポテンシャルを示しています。日本のクラフトビールは国際市場でますます高級品として位置づけられており、醸造所交流プログラムと国際コラボレーションがグローバルな認知度を高めています。

テクノロジー活用の未来

クラフト規模の操業向けに設計された、ますます手頃な価格の自動化ソリューションが登場しています。より正確な発酵制御を可能にするリアルタイムセンサー技術や、小規模醸造所が経済的により多くのパッケージングフォーマットを提供できる新技術も進化しています。また、クラフト飲料販売のために特別に設計された消費者直結アプリとプラットフォームの登場も期待されています。

日本クラフトビール産業の直面する課題

課題
2025年5月

日本のクラフトビール産業は成長を続ける一方で、いくつかの課題も抱えています。輸入ホップと特殊麦芽は2023年以降15-20%の価格上昇を記録しており、特に規模の経済を持たない小規模醸造所にとってエネルギーコストの上昇も大きな負担となっています。また、主要都市以外での冷蔵流通ネットワークの制限や、大手醸造所が支配するタップハンドルや棚スペースの確保の困難さも課題です。

さらに、技術的知識を持つ訓練された醸造者を見つけることが難しく、特に他国と比較して日本における醸造のための正式な教育経路が限られていることも業界の成長を制約しています。これらの課題に対応するためには、業界団体による協力やサプライチェーンの最適化、専門教育プログラムの拡充などが必要とされています。

出典: IMARC Group, 2025年市場レポート

最終更新: 2025-05-19T12:00:00Z

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