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りほ

ITエンジニア兼ビアジャッジ

IT技術とビール愛を融合させた活動を展開中。日本のビアジャッジ資格保持者として2024年JGBAでの審査経験あり。現在はシアトル拠点で、日米のクラフトビール文化を比較しながら、情熱を注いでいます。趣味でビール関連アプリの開発も行っています(詳細はGitHubにて)。

ブルワリー向けにWebサイト刷新、SEO対策、AIを活用したペルソナ分析、プロンプトエンジニアリングなど、IT知識を活かしたサポートが可能です。「ブルワリーの魅力が正しく伝わる世界」を目指して、純粋な情熱でクラフトビールを応援しています。ビールとテクノロジーの融合についてご興味があれば、お気軽にご連絡ください🍻


最終更新日: 2025年5月14日

このレポートでは、アメリカと世界のクラフトビール業界の最新動向、トレンド、市場分析についてまとめています。ビール愛好家、業界関係者、投資家の方々に有益な情報を提供します。

地域別最新ニュース(過去1ヶ月)

パシフィックノースウェスト

Double Mountain Brewery releases 1904 IPA

オレゴン州フッドリバー
May 6, 2025

オレゴン州フッドリバーのDouble Mountain Breweryが、オレゴン州ウィラメット峡谷のGoschie Farmsとコラボレーションした「1904 IPA」を発売。このビールは1904年からホップ栽培を行ってきた歴史あるGoschie Farmsへの敬意を込めて名付けられ、同農場産のカスケード、センテニアル、フグルホップを使用している。ABV 6.2%、70 BUの伝統と現代が融合したIPAとなっている。

出典: BrewPublic, May 6, 2025

2 Towns Ciderhouse launches POG Cosmic Crisp

オレゴン州
May 5, 2025

オレゴン州のシードルハウスが夏シーズンに向けて「POG Cosmic Crisp」を発売。パッションフルーツ、オレンジ、グアバをブレンドした熱帯風味の強いインペリアルシードル。純粋な果実の風味にこだわって作られた季節限定商品として登場した。

出典: BrewPublic, May 5, 2025

World Beer Cup 2025 recognizes Northwest breweries

米国コロラド州・オレゴン州・ワシントン州
May 2, 2025

2025年ワールドビアカップでパシフィックノースウェスト地域のブルワリーが好成績を収めた。米国コロラド州・オレゴン州・ワシントン州のブルワリーが多数メダルを獲得し、特にRiver North Breweryはコロラド州を代表して3つのメダルを獲得した。同大会は今年、8,375種のビールが出品され、49か国から1,761のブルワリーが参加した。

出典: PorchDrinking, May 2, 2025

カリフォルニア

2025 Brewers Cup of California winners announced

カリフォルニア州
May 1, 2025

カリフォルニア州のブルワリーを対象としたBrewers Cup of Californiaコンペティションで、Geisthaus Brewing CompanyのProgenitor Kellerbierが「Best in Show」を獲得。Morgan Territory Breweryは「Brewery of the Year」に選ばれ、ロサンゼルス郡ブルワーズギルドが「Guild of the Year」を受賞した。同コンペティションには203のブルワリーから1,360の出品があった。

出典: American Craft Beer, May 1, 2025

Sierra Nevada leads 2025 sustainable brewing initiative

カリフォルニア州
April 22, 2025

カリフォルニアを代表するSierra Nevada Brewing Companyが2025年に向けた持続可能なビール醸造イニシアチブを発表。太陽光発電システムの増設、水使用量の削減、CO2回収技術などを導入し、地元の原材料を使用した「農場から工場へ」の取り組みを強化。同社は環境への配慮と高品質なビール製造の両立を目指している。

出典: Craft Beer & Brewing, April 22, 2025

その他の地域のニュース

Brewers Association reports 3.9% decline in craft beer production for 2024

全米
May 6, 2025

全米ブルワーズ協会が2024年のクラフトビール生産統計を発表。クラフトブルワーが2024年に2,310万バレルを生産し、前年比3.9%減少。市場シェアは量ベースで13.3%、金額ベースでは24.7%。雇用は197,112人で前年比3%増加。2024年は閉店(529)が開店(430)を上回り、2005年以来初めて。「成熟市場」では量的成長よりも質的向上が重要となっている。

出典: Brewers Association, May 6, 2025

2025 World Beer Cup awards recognize global brewing excellence

インディアナポリス
May 1, 2025

2025年ワールドビアカップの授賞式が5月1日にインディアナポリスで開催。49カ国から1,761のブルワリーが参加し、8,375のビールが112カテゴリーでエントリー。最も競争が激しかったのはHazy IPAカテゴリー(290エントリー)。カリフォルニア(76メダル)、オレゴン(35)、ワシントン(24)などの州が好成績を収めた。「ビールのオリンピック」と呼ばれる同大会は世界のビール製造の卓越性を称えるものとなっている。

出典: Brewers Association, May 1, 2025

今後のクラフトビールイベント(3ヶ月以内)

アメリカ

東部

イベント名 日程 場所 概要
Vermont Brewers Festival July 18-19, 2025 Waterfront Park, Burlington, VT シャンプレーン湖畔の美しい景観を背景に開催される、バーモント州最大のクラフトビールフェスティバル。地元醸造所を中心に多彩なビールの試飲が楽しめる。
Barrel & Flow Fest August 9, 2025 The Stacks at 3 Crossings, Pittsburgh, PA 黒人・有色人種のビール醸造家を中心としたフェスティバル。USAトゥデイが「アメリカNo.1ビールフェスト」と称する社会的意義の高いイベント。
CANFEST by Mast Landing June 28, 2025 Thompson’s Point, Portland, ME メイン州ポートランドで開催される人気フェスティバル。Trillium、Bissell Brothersなど60以上の優良醸造所が参加する。
データソース: Vermont Brewers Festival, Barrel & Flow Fest, CANFEST, 2025年5月14日現在

西部

イベント名 日程 場所 概要
Firestone Walker Invitational May 31, 2025 Paso Robles, CA ファイアストーン・ウォーカーの醸造長が世界中から選りすぐった醸造所を招待する高品質なフェスティバル。
Mammoth Festival of Beers and Bluesapalooza July 31-August 3, 2025 Mammoth Lakes, CA ビールとブルース音楽の祭典。80以上の醸造所が集まり、美しい山岳リゾートで楽しめる。
San Diego Craft Beer Festival June 14, 2025 San Diego, CA アメリカのクラフトビールの中心地サンディエゴで開催される祭典。地元と全国から多数の醸造所が集まる。
データソース: Firestone Beer Invitational, Mammoth Bluesapalooza, 2025年5月14日現在

アジア

イベント名 日程 場所 概要
Qingdao International Beer Festival July 18-August 10, 2025 Golden Sands Beach, Qingdao, China アジア最大のビールフェスティバル。約40の醸造所が参加し、世界中から500万人以上が訪れる一大イベント。
Keyaki Beer Festival June 2025 (TBA) Saitama Super Arena, Japan 90以上の日本国内と一部海外の醸造所が集結し、400種類以上のビールを提供する大型フェスティバル。
Beers of Japan Festival June 2025 (TBA) Mitsui Shopping Park LaLaport Fukuoka, Japan 日本全国の醸造所が集まり、多様な国産クラフトビールが楽しめるフェスティバル。
データソース: Qingdao Beer Festival, 2025年5月14日現在

注目のクラフトビール(米国・世界)

米国クラフトビール

  • Toppling Goliath Brewing Co.
    Kentucky Brunch Brand Stout (2024):メープルシロップ、エスプレッソ、バーボンの贅沢な味わいが一口で楽しめる特別なスタウト。チョコレートやバニラの深い風味に、柔らかな口当たりが特徴。2025年のUntappd Community Awardsで米国最高評価ビールに選出。評価:4.8/5 (Untappd)
  • Strangebird
    Unfettered Soul:モザイクとオーストラリア産ギャラクシーホップをダブルドライホッピングした、バランスの取れたヘイジーIPA。果実の豊かな香りと絶妙な苦みが特徴で、2024年のWorld Beer Cupでブロンズメダルを獲得。評価:4.09/5 (BeerAdvocate)
  • Tree House Brewing Co.
    Juice Machine:マグナム、コロンバス、アマリロ、シトラ、ギャラクシーホップの複雑な組み合わせで作られた豪華なIPA。マンゴー、オレンジシャーベット、パパイヤの風味が波のように押し寄せる。柔らかい口当たりと驚くほど滑らかな飲み心地。評価:4.8/5 (Untappd)
  • Green Cheek Beer Co.
    Chance Favors The Prepared Mind:2024年World Beer Cupのインペリアルインディアペールエール部門金メダル受賞作。完璧なバランスと鮮やかなホップの風味が特徴で、フルーティーな香りとクリーンなフィニッシュが魅力。控えめな苦みと柑橘系の爽やかさが絶妙に調和。評価:Gold Medal (WBC 2024)

世界のクラフトビール

  • Bere Noah
    ECSTASY:「すべてを忘れるか、すべてを覚えているか!」というコンセプトのヘイジーダブルIPA。トロピカルフルーツとシトラスの豊かな風味、柔らかな口当たりと絶妙な苦みのバランスが特徴。2025年Untappdの最高評価ルーマニアビール。評価:4.5/5 (Untappd)
  • Counterpart Brewing
    Deciduous (Double Barrel Grand Reserve):希少な樽で二重熟成させた究極のインペリアルスタウト。濃厚なチョコレート、コーヒー、オーク、バーボンの複雑な風味が絶妙に調和。2025年Untappd Community Awardsでカナダ最高評価ビールに選出。評価:4.7/5 (Untappd)
  • Pühaste Brewery
    Midnight Macchiato Bourbon BA (Silver Series):バーボン樽熟成のインペリアルコーヒースタウト。贅沢なコーヒー、ダークチョコレート、バニラ、ウィスキーの風味が層をなす複雑な味わい。シルバーシリーズの逸品で、2025年に高評価を獲得。評価:4.4/5 (Untappd)

日本の輸出入情報

日本から海外へのクラフトビール輸出の最新状況と傾向

日本のビール輸出は近年堅調な成長を示しています。日本の国税庁の2024年7月発表によると、2023年の日本からのビール輸出額は約180億円に達し、前年比で増加傾向にあります。クラフトビールの輸出も増加しており、日本のクラフトビール市場全体は2024年には80億円規模に成長、2033年までに約234億円(CAGR 12.61%)に達すると予測されています。

主要輸出先国は、韓国、台湾、アメリカ、オーストラリアとなっています。特に韓国への輸出は全体の約60%を占め、若者を中心に日本のビールへの人気が高まっています。

注目の輸出ブルワリー

ヤッホーブルーイング(長野県軽井沢町):2010年からアメリカへの輸出を開始し、過去6年で輸出量が倍増。「SORRY UMAMI IPA」など日本らしさを前面に出した輸出専用ビールを開発し、米国市場で人気を獲得。
伊勢角屋麦酒(三重県伊勢市):「ペールエール」がイギリスのインターナショナル・ブルーイング・アワード(IBA)で2大会連続金賞を受賞するなど、国際的な評価を得ており、海外輸出も伸ばしている。
常陸野ネストビール(茨城県):日本の地域素材を活かした「Red Rice Ale(赤米エール)」などが海外で高い評価を受け、アメリカなど複数国に輸出されている。

海外から日本へのクラフトビール輸入の最新状況と傾向

日本への海外ビールの輸入額は、2023年に約97億円となっており、前年比でわずかに増加しています。輸入元としては、韓国、ドイツ、中国が主要国となっていますが、クラフトビール分野では、アメリカからの輸入が顕著です。

日本国内のビール市場全体が縮小傾向にある中で、クラフトビール市場はむしろ拡大しており、2024年時点での日本のクラフトビール市場規模は80億円に達していると推定されます。また、クラフトビール醸造所の数も2024年時点で全国に800カ所以上存在し、10年前の約3倍に増加しています。

日本で人気の海外クラフトビールブランド

ブルックリン・ブルワリー(米国):キリンビールが輸入を手掛け、「ブルックリンラガー」がワールド・ビア・カップで金賞を獲得するなど高評価。
ブリュードッグ(スコットランド):米国市場でも人気を博しており、日本でもIPAスタイルのクラフトビールとして人気を獲得。

Untappd 米国ブルワリーランキング

順位 ブルワリー 所在地 タイプ 平均評価 評価数
1 Willow Park Brewing Bethlehem, PA Nano Brewery 4.62 3,345
2 nebuleus Portland, OR Nano Brewery 4.47 7,418
3 Lyric Brewing Company Denver, CO Nano Brewery 4.43 2,697
4 Floodland Brewing Seattle, WA Micro Brewery 4.43 60,403
5 Side Project Brewing Saint Louis, MO Micro Brewery 4.43 611,657
6 ill will brewing Columbiana, OH Nano Brewery 4.42 19,120
7 Private Press Brewing Santa Cruz, CA Nano Brewery 4.42 35,719
8 Brujos Brewing Portland, OR Nano Brewery 4.42 69,999
9 Troon Brewing Hopewell, NJ Nano Brewery 4.39 160,706
10 Fidens Brewing Co Albany, NY Micro Brewery 4.38 470,161
データソース: Untappd, 2025年5月14日現在

急上昇中のブルワリー

  • Revenant Brewing Project
    2023年に設立された比較的新しいブルワリーですが、「Turmoil」「Artifact」「Ascendance」などのビールが高評価を獲得し、平均評価4.07という高いスコアを記録しています。
  • Single Hill Brewing
    ホップの産地に位置する地の利を活かし、特に収穫期のフレッシュホップビールで高い評価を得ています。IPAのバリエーションが豊富で、Untappdのユーザーから持続的に高評価を獲得しています。
  • Athletic Brewing
    2024年のBrewers Associationのランキングで8位に上昇し、非アルコールクラフトブルワリーとしては史上最高の順位を記録。アルコールフリービールカテゴリーで革新を続け、Untappdでの評価も着実に上昇しています。

ビールスタイルのトレンド

ライスラガーの台頭

日本のクラフトビールから影響を受けたライスラガーが、特に米国と豪州市場で著しい成長を見せています。この軽やかで爽快な味わいのビールスタイルは、食事との相性が良く、消費者の間で急速に人気を集めています。Untappdのデータによれば、「ラガー—日本式ライス」スタイルのチェックイン数は2021年から2024年の間に約63%増加しました。

ノンアルコールビールの成長

ノンアルコールビール市場は爆発的な成長を続けており、もはや一時的なブームではなく確固たるカテゴリーとして定着しています。2024年にはスキャン販売額が前年比30%以上増加し、2024年のオフプレミス販売額は7億4000万ドルに達しました。NielsenIQによれば、2025年末までにオフプレミスチャネルでの売上が10億ドルを超えると予測されています。

ダークラガーとクラシックスタイルの復活

2024年は「ダークラガーの年」と呼ばれるほど、伝統的なダークラガースタイルが復活しました。同時に、西海岸IPAなどの伝統的なスタイルも、ヘイジーIPAの長期的な人気の後で再評価されています。

原材料・製法のトレンド

チオールバイオトランスフォーメーション

ホップと酵母の相互作用による「バイオトランスフォーメーション」、特にチオール(硫黄含有化合物)の放出に関する技術革新が進んでいます。チオールは極めて低濃度でも検出可能な強力な香り成分で、トロピカルフルーツやグレープフルーツのような魅力的なアロマを生み出します。

アップサイクリングと持続可能な原材料

コスト意識の高まりと持続可能性への関心から、「アップサイクリング」(廃棄物を価値ある資源に変換する取り組み)が醸造業界で注目されています。使用済みのパンやその他の食品廃棄物をビール製造に利用することで、原材料コストを削減しながら環境負荷を低減する試みが増えています。

ビジネスモデルとマーケティングのトレンド

タップルームの進化と体験型ホスピタリティ

従来のビールの提供だけでなく、総合的な「体験」を提供するタップルームへの進化が進んでいます。多様な食事オプション、カクテル、ノンアルコール飲料の提供、家族向けのアクティビティなど、顧客体験の充実により、長時間の滞在と直接消費の増加を目指す動きが広がっています。

合併・提携・資源共有の増加

競争の激化と経済的圧力の中で、ブルワリー間の合併、買収、戦略的提携、資源共有が増加しています。Tilray Brandsが2024年8月にMolson Coorsから4つのクラフトブルワリー(Hop Valley、Terrapin、Revolver、Atwater)を買収、Sapporo U.S.A.が2022年にStone Brewingを買収するなどの動きがあります。

消費者嗜好の変化

ヘルス・ウェルネス志向の高まり

健康を意識した飲酒行動(「マインドフル・ドリンキング」)への移行が進んでいます。ノンアルコールやローアルコールだけでなく、低炭水化物・低カロリーのビールオプションへの需要が増加しています。特に若い世代はアルコールへの関わり方を見直し、健康的なライフスタイルの一部として選択的な飲酒を好む傾向があります。

クロスドリンカーの増加

従来はビール、ワイン、スピリッツのいずれかに忠実だった消費者が、「クロスドリンカー」として場面やムードに応じて異なる種類のアルコール飲料を選ぶようになっています。RTD(Ready-to-Drink)カクテル、Hard Tea(ボストンビール社の「Twisted Tea」など)の人気が高まっています。

結論

クラフトビール業界は成熟期を迎えながらも、革新と適応を続けています。全米のクラフトビール生産量が3.9%減少する中でも、ノンアルコールビール市場の急成長やライスラガーの台頭など、新たなトレンドが生まれています。伝統的なスタイルの復活と革新的な醸造技術の進化が同時に進行し、多様な消費者ニーズに応える製品が開発されています。また、持続可能性への取り組みやタップルーム体験の充実など、ビジネスモデルの変革も進んでいます。日本のクラフトビール輸出は堅調に成長を続け、特にアメリカ市場での評価が高まっています。今後も消費者嗜好の変化と技術革新により、クラフトビール業界は新たな挑戦と機会に直面していくでしょう。

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