【2025年5月27日最新】日本クラフトビール業界レポート完全版 – Untappdランキング公開!転換期を迎える360億円市場の全貌

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りほ

ITエンジニア兼ビアジャッジ

IT技術とビール愛を融合させた活動を展開中。日本のビアジャッジ資格保持者として2024年JGBAでの審査経験あり。現在はシアトル拠点で、日米のクラフトビール文化を比較しながら、情熱を注いでいます。趣味でビール関連アプリの開発も行っています(詳細はGitHubにて)。

ブルワリー向けにWebサイト刷新、SEO対策、AIを活用したペルソナ分析、プロンプトエンジニアリングなど、IT知識を活かしたサポートが可能です。「ブルワリーの魅力が正しく伝わる世界」を目指して、純粋な情熱でクラフトビールを応援しています。ビールとテクノロジーの融合についてご興味があれば、お気軽にご連絡ください🍻


最終更新日: 2025年5月27日

2025年、日本のクラフトビール業界は重要な転換点を迎えています。1994年の酒税法改正から約30年が経過し、全国で800社以上の醸造所が稼働する中、市場の成熟化と新たな成長機会の両方に直面しています。本レポートでは最新の市場動向、Untappdランキング、業界トレンドについて詳しく解説します。

市場概況

市場規模の急成長

2022年度のクラフトビール市場は国内出荷数量43,745キロリットルを記録し、コロナ禍前の2019年度比24%増の大幅成長。売上金額は360億6,500万円に達し、市場シェアは0.95%となっています。

醸造所数の急増

2024年現在、全国で800社以上の醸造所が稼働中。2022年度調査時の655社から大幅に増加し、2019年度の422社と比較すると約90%の増加率を記録しています。

国際比較での成長ポテンシャル

米国ではクラフトビールが金額ベースでビール市場全体の2割強を占める一方、日本は0.95%にとどまっており、まだまだ大きな成長余地を秘めています。

Untappd日本人気ブルワリーランキング(Top 25)

ビール評価アプリUntappdで高評価を受けている日本のクラフトブルワリーランキングです。評価点数と評価数を基に、ビール愛好家から最も支持されている醸造所をご紹介します。

順位 醸造所名 タイプ 所在地 評価 評価数
1 UCHU BREWING Micro Brewery 北杜市, 山梨県 4.02 67,169
2 Inkhorn Brewing Nano Brewery 豊島区, 東京都 4.02 15,745
3 Totopia Brewery Micro Brewery 長久手市, 愛知県 3.98 12,849
4 MAHOWBREW Nano Brewery 那覇市, 沖縄県 3.97 1,038
5 West Coast Brewing Micro Brewery 静岡市, 静岡県 3.97 89,842
6 GRANDLINE BREWING Micro Brewery 横須賀市, 神奈川県 3.92 1,063
7 Amakusa Sonar Beer Micro Brewery 天草市, 熊本県 3.92 5,883
8 Teenage Brewing Micro Brewery 比企郡, 埼玉県 3.92 8,127
9 Break Edge Beer Works Nano Brewery 広島市, 広島県 3.90 1,804
10 TKBrewing Micro Brewery 川崎市, 神奈川県 3.86 5,064
11 Thrash Zone Nano Brewery 横浜市, 神奈川県 3.85 3,472
12 Son of The Smith Hard Cider Cidery 大町市, 長野県 3.85 1,855
13 Kanpai! Brewing Micro Brewery 文京区, 東京都 3.84 2,724
14 Open Air Nano Brewery 神戸市, 兵庫県 3.84 8,822
15 B.M.B Brewery Macro Brewery 宮崎市, 宮崎県 3.84 1,729
16 Nomcraft Brewing Nano Brewery 有田市, 和歌山県 3.83 13,191
17 VERTERE Micro Brewery 奥多摩町, 東京都 3.83 29,273
18 Black Tide Brewing Micro Brewery 気仙沼市, 宮城県 3.82 18,757
19 Cycad Brewing Brew Pub 豊島区, 東京都 3.82 3,870
20 Sakamichi Brewing Brew Pub 立川市, 東京都 3.82 1,871
21 Yellow Beer Works Nano Brewery 福島市, 福島県 3.82 1,554
22 Let’s Beer Works Micro Brewery 北区, 東京都 3.82 3,055
23 Miyazaki Hideji Beer Micro Brewery 延岡市, 宮崎県 3.81 14,890
24 HUMANSBEER Nano Brewery 湯河原町, 神奈川県 3.81 2,256
25 Yggdrasil Brewing Brew Pub 平塚市, 神奈川県 3.81
データソース: Untappd, 2025年5月27日現在

ノンアルコール・低アルコールの台頭

若年層を中心とした健康志向により、アルコール度数0.5%以下のビールテイスト飲料への注力が各社で始まっています。米国のAthletic Brewing社の成功例を受け、日本でも同様の波が到来しています。

サステナビリティへの取り組み

食品ロス削減を目的とした余剰食品のアップサイクル利用や、地元農家との協力によるオーガニック原料の使用など、環境に配慮した製法が注目されています。

テクノロジーの活用

AIを活用したビールレシピ開発やブロックチェーンでの生産履歴管理など、最新技術を取り入れた醸造所も出現しています。

最新ニュース(2025年4月〜5月)

日本クラフトビール業界団体連絡協議会市場調査結果発表

全国
2025年4月

2022年度のクラフトビール国内出荷数量が43,745kLに達し、2019年度比24%増の大幅成長を記録。醸造所数も655社に増加し、業界の急成長が続いていることが明らかになりました。

出典: クラビ連公式発表, 2025年4月

ノンアルコールクラフトビールの台頭

若年層中心
2025年5月

健康志向の高まりにより、アルコール度数0.5%以下のビールテイスト飲料への注力が各社で始まっています。米国のAthletic Brewing社などの成功例を受け、日本でも「美味しいノンアル」が当たり前になる転換点を迎えています。

出典: 業界レポート, 2025年5月

大手メーカーのクラフトビール市場参入強化

大手企業
2025年春

キリンビール「SPRING VALLEY」、サントリー「東京クラフト」など大手ブランドが市場を牽引。ホームタップ事業の展開や日本産ホップの約70%を購入するなど、市場全体の拡大に貢献しています。

出典: 業界レポート, 2025年春

  • ヤッホーブルーイング
    よなよなエール:フルーティーな香りとバランスの良い苦味で人気の定番商品。アメリカンペールエールスタイルで、クラフトビール初心者にも親しみやすい味わいが特徴。全国で入手可能。
  • サンクトガーレン
    NEW GINGER BEER:岩下食品と共同開発した日本の生姜を使用した独特の風味のジンジャービール。スパイシーでありながら爽やかな味わいが楽しめる限定販売商品。
  • 白馬村醸造所
    CRUST LAGER:廃棄予定のパンを原料に使用したサステナブルビール。環境に配慮した製法で作られており、フードロス削減への取り組みとしても注目されている限定商品。
  • UCHU BREWING
    代表作各種:Untappdランキング1位の山梨県北杜市の醸造所。宇宙をテーマにしたユニークなブランディングと高品質なビール造りで、67,000件以上の高評価を獲得。

今後のビアフェス・イベント(2025年6月〜8月)

開催時期 イベント概要 特徴
2025年6月〜8月 全国各地のビアフェスティバル 夏季シーズンに向けて40〜50の醸造所が参加する大規模イベントが各地で開催予定
夏季開催予定 ビアガーデン各地オープン 例年通り夏季期間中にビアガーデンが各地でオープン。300種類以上のクラフトビールが楽しめる施設も
通年 地域特色を活かしたイベント 単なる試飲だけでなく、食事とのペアリングや醸造体験などの体験型コンテンツも充実
注意: 開催日程や内容に変更がある可能性があります。参加前に公式サイトでの確認を推奨します。

業界が直面する課題と将来展望

現在の課題

価格競争の激化

一杯2,000円〜3,000円という価格設定では、一般消費者にとって高額すぎ、新規顧客の獲得が困難。価格と品質のバランス最適化が急務となっています。

醸造所数増加とシェアのミスマッチ

800社以上に急増した醸造所数に対し、市場シェアは0.95%とほぼ横ばい。業界関係者からは「どこかでしわ寄せが来るのではないか」との懸念も表明されています。

将来展望

米国の事例を見ると、クラフトビールの構成比は現在、金額ベースでビール市場全体の2割強まで成長しています。日本のクラフトビール誕生から約30年という歴史を考慮すると、まだまだ成長ポテンシャルを秘めていると言えます。

2026年酒税法改正の影響により、市場にさらなる刺激が加わることが期待されており、より健全で持続可能な成長を遂げる転換点となる可能性があります。

まとめ

2025年の日本のクラフトビール業界は、創設から約30年を迎え重要な転換点に立っています。全国800社以上の醸造所による多様なビール造りと、360億円を超える市場規模は業界の成長を物語っていますが、同時に価格競争の激化や収益性確保という課題も浮き彫りになっています。

Untappdランキングに見られるように、UCHU BREWINGやInkhorn Brewingなど評価4.0を超える高品質な醸造所が続々と登場し、日本のクラフトビールの技術力とブランド力は着実に向上しています。ノンアルコール製品の台頭、サステナビリティへの取り組み、テクノロジーの活用など新しいトレンドが業界に活力をもたらす一方で、適正価格での商品提供と品質向上のバランスが今後の成長の鍵となるでしょう。

米国市場の成長軌跡を参考にすると、日本のクラフトビール市場にはまだまだ拡大の余地があり、2026年の酒税法改正を契機として、より健全で持続可能な成長を遂げることが期待されます。


参考文献・情報源:

  • 日本クラフトビール業界団体連絡協議会(クラビ連)2022年度市場実態調査
  • 日本経済新聞「クラフトビール、22年度国内シェアは0.95% 民間調査」(2024年4月18日)
  • お酒トレンド研究所「2025年最新版クラフトビール市場動向」
  • Untappd「Top Rated Breweries」(2025年5月27日現在)

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